日立、米子会社が米ブルーアーク社を買収 ストレージソリューション事業拡大

2011年9月8日 11:28

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日立、米子会社が米ブルーアーク社を買収 ストレージソリューション事業拡大(写真:財経新聞社)

日立、米子会社が米ブルーアーク社を買収 ストレージソリューション事業拡大(写真:財経新聞社)[写真拡大]

 日立製作所は8日、同社の米国子会社である「Hitachi Data Systems Corporation(日立データシステムズ 以下、HDS)」が、米国のネットワークストレージ事業会社「BlueArc Corporation(以下、ブルーアーク社)」を買収したと発表した。

 今回の買収により日立は、ブルーアーク社が医療・ライフサイエンス分野やエンターテインメント分野など、幅広い業界に提供している高信頼・高性能なファイルストレージ技術および製品、顧客基盤の獲得すると同時に、ビッグデータ(大量データ)に対する、確実な蓄積・検索、および効率的な分析・利活用を行うための、新たなソリューションの開発をより高度化するなど、ストレージソリューション事業のグローバルな競争力をさらに強化する。

 具体的には、日立がこれまで培ってきた強いブランド力を生かし、日立のグローバルな販売チャネルにブルーアーク社の高信頼・高性能なファイルストレージ製品を提供するとともに、ブルーアーク社の持つ顧客基盤に対する日立のストレージ製品の販売機会も増加することで、さらなる事業拡大を図ることが可能となる。

 「また今後、日立とブルーアーク社が持つストレージ技術のシナジーにより、人々の生活や企業活動の多様化・複雑化が進む中で発生するさまざまな種類のビッグデータに対して、確実な蓄積・検索、および効率的な分析・利活用を行うための、新たなストレージソリューションの開発をより高度化することができる」と同社はコメントしている。

 同社は、「近年、スマートフォンや情報配信サイトをはじめとした、インターネットを利用する製品・サービスの普及などにより、メールや画像、映像といったコンテンツデータを中心に企業が取り扱うデータ量が急激に増加する中、コンテンツデータを管理するファイルストレージ装置やこれに関連するサービスのニーズが増大している」と説明。

 そのうえで、「今後、企業などの基幹業務データの処理を得意とするブロックストレージ分野に加え、特に需要が拡大しているファイルストレージ分野における競争力の向上が、ストレージソリューション事業のさらなる拡大のためには不可欠。そこで、HDSはこのたび、2006年から戦略的OEMパートナーとしてNAS(Network Attached Storage)製品の供給を受けてきたブルーアーク社を買収した」と同社はコメントしている。

 日立のストレージソリューション事業は、HDSを中心に海外で積極的な事業展開を進めてきており、顧客からも高い評価を得ているという。そのなかでも、メールや画像、映像などのコンテンツデータ管理を中心としたファイルストレージ分野においては、コンテンツデータを集約し、データの一元管理とストレージ容量の柔軟な利用を可能とするコンテンツクラウドを実現する仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform(日立バーチャルファイルプラットフォーム)」を提供しているほか、ブルーアーク社との戦略的OEMパートナーシップのもと、NAS製品「Hitachi NAS Platform」を提供してきた。

 「日立は今後も、ストレージソリューション事業のグローバルな拡大・強化を推進し、ストレージソリューション事業の売上高を2010年度の約3,220億円から、2015年度には4,000億円に拡大することをめざす。さらに日立は、グローバル市場における事業強化に向けた取り組みを加速することにより、情報・通信システム事業全体で2010年度に約3,900億円であった海外売上高を、2015年度には8,000億円へと拡大することをめざす」と同社はコメントしている。

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