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絶滅危惧種を救うiPS細胞の作製に成功
eggy 曰く、 スクリップス研究所が絶滅危惧種の保護を目的に、絶滅危惧種のiPS細胞を作製するという世界初の試みに成功したとのこと。このiPS細胞を用いることで将来的に、危惧種の繁殖促進及び遺伝的多様性の保護、また捕獲された危惧種の健康状態を向上させることが可能となる。研究の成果は、9月4日付けオンライン版Nature Methodsジャーナルで報告されている(本家/.、EurekAlert記事)。
この研究は5年前、サンディエゴ動物園の遺伝学部門ディレクターOliver Ryder博士が、スクリップ研究所のJeanne Loring教授に絶滅危惧種の幹細胞を保存出来るかを打診したことから始まった。Ryder氏は最初の研究対象としてドリルとキタシロサイの2種を選んだ。西アフリカ産ヒヒのドリルは遺伝子的に人間に近く、飼育中に糖尿病を煩う傾向にあるのだそうだ。現在、人間でもiPS細胞を用いた糖尿病治療の研究が進んでいることもあり、ドリルが候補に選ばれた。一方で、キタシロサイは遺伝的に霊長類から最もかけ離れており、また絶滅する危険性が最も高いとされる、現在7頭しか存在しない危惧種である。
研究チームは当初、この2種に近い近縁種の遺伝子を使ったがうまくいかず試行錯誤を繰り返したところ、なんとヒトで分化万能性の幹細胞を作るのと同じ遺伝子を用いたところ、ドリル及びキタシロサイの幹細胞を作製することに成功したとのこと。
危惧種を守る対策として、種の保護と居住地の保全が最善策であるものの「うまくいかない事もある」と同時に、サイのように少数頭しか存在しない場合、「居住地から完全に消滅することがあっても幹細胞技術があれば絶滅する事はない、という幾ばくかの期待を残してくれる」とRyder氏は述べている。
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