『新政権スタートで急落の相場』~何が起きたか?=犬丸正寛

2011年9月6日 19:17

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

6日(火)の東京市場は、ほぼ「全面安」となった。前日のNYダウが253ドル安と大きく下げたことが響いた。日本では、野田新内閣がスタートしたばかりというのに。

6日(火)の東京市場は、ほぼ「全面安」となった。前日のNYダウが253ドル安と大きく下げたことが響いた。日本では、野田新内閣がスタートしたばかりというのに。[写真拡大]

【今日の出来事&マーケット】

★「輸出関連株」から「内需関連株」へ潮流変化の動き

  6日(火)の東京市場は、ほぼ「全面安」となった。前日のNYダウが253ドル安と大きく下げたことが響いた。日本では、野田新内閣がスタートしたばかりというのに。

  どのように見ればよいのか。筆者は、「マーケットで物色対象に変化が生じる時に起きる象徴的な動きである」とみている。「輸出関連株売り」の「内需関連株買い」の潮流の変化である。

  世界に目をやれば当然であろう。NYダウの不安定な動きに象徴されるアメリカ景気の不透明感。いっこうに収束する気配のないEUの財政不安。さらに、中国など新興国の高度経済成長に対するヒズミなどなど。どこを見ても海外の経済状況は良くない。

  当然、6日の東証1部の年初来新安値銘柄は輸出関連銘柄が圧倒的に多い。トヨタ自動車、スズキ、ヤマハ発、ソニー、パナソニック、東芝、三菱電機、ローム、カシオ、リコー、日本写真印刷、野村ホールディングスなど、グローバルで展開する銘柄ばかりである。

  このため、6日の日経平均終値は193円安の8590円と大きく下げた。下落率では2.2%。

  一方、TOPIX(東証株価指数)も下げてはいるものの、1.9%の下げにとどまっており、日経平均の下落率より小さい。これは、TOPIXには建設株など内需関連銘柄の寄与度が高いことがある。実際、建設株等は小幅安にとどまっている。とくに、小野薬品が新高値に買われるなど相場格言でいわれる『電気が消えるとお化けが出る』動きとなっている。電気とはエレクトロニクス株などの輸出関連株であり、お化けとはファインケミカル(精密化学)の代表の薬品株のことである。

  とくに、株式投資において注意すべきことは、「今より良くなるか、悪くなるか」という点である。この物差しに当てはめれば、輸出関連は良くなる可能性は多くは期待できない。むしろ、内需関連株には、新内閣による復興が背景にあるから期待が持てる。当然、内需関連銘柄に軍配が上がる。

★リーマンショック後の動きと反対の展開に

  しかし、今のマーケットには豊富な資金があるわけではないから、輸出関連株を売って内需関連株への乗り換え資金を作らなくてはいけない。振り返ってみれば、「09年3月」にも似たような動きが起きた。あの時は、人口減少、少子高齢化が進みデフレ解消は見込めないということで内需を一斉に売った。反対に、海外はリーマンショックから立ち直るために各国が足並みをそろえ大規模な景気刺激策を採るということで輸出株が買われる動きとなって現在まで続いた。これからは、09年3月当時の反対が来るものと捉えることができるだろう。

  ただ、不透明な海外においてアメリカについては基軸通貨ドルを支配している強みで、景気対策を打つことができる。実際、まもなく景気対策QE―3(第3次金融政策)が発表となる見通しだ。このため、NYダウは下げたといっても去る8月9日の安値1万604ドルに対しては余裕がある。

  今年の日本には、08年のリーマンショック以上の「東日本大震災」という経済にとって大ショックが起きた。リーマンショックの時と同様、日本でも大規模な復興・景気対策が大手を振って見込める。

  現物投資の個人投資家にはたいへん分かりやすい相場がこれからやってくる。復興に関連した内需関連銘柄を仕込む絶好のタイミングといえるだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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