『アメリカ雇用統計悪化がマーケットに与える影響』は?=犬丸正寛

2011年9月4日 10:47

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

週末2日に発表された「8月のアメリカ雇用統計」は、非農業部門の就業者数の伸びは前月比横ばいと発表された。これを受けて2日のNYダウは一時282ドル安まであり、終値は253ドル安の1万1240ドル。週明けのマーケットはどう動くか。

週末2日に発表された「8月のアメリカ雇用統計」は、非農業部門の就業者数の伸びは前月比横ばいと発表された。これを受けて2日のNYダウは一時282ドル安まであり、終値は253ドル安の1万1240ドル。週明けのマーケットはどう動くか。[写真拡大]

【今日の出来事&マーケット】

■マーケットは「景気刺激の催促」を強める

  週末2日に発表された「8月のアメリカ雇用統計」は、非農業部門の就業者数の伸びは前月比横ばいと発表された。これを受けて2日のNYダウは一時282ドル安まであり、終値は253ドル安の1万1240ドル。週明けのマーケットはどう動くか。

  これで、7月まで10ヶ月連続で続いた就業者の増加が止まった。通信大手企業のストの影響が大きかったといわれるものの、それを吸収できなかったところにアメリカ景気の足腰が弱くなっていると受け取られた。

  しかし、これによってNYダウが、これ以上大きく下がることはないだろう。実際、去る8月9日の安値1万604ドルに対しては十分な余裕がある。機関投資家等が見る「S&P500」についても、2日の終値は1173ポイントと、去る8月9日の1101ポイントに対し6.5%上にある。

  今回の雇用者数横ばいは、政府に対し景気対策を催促する働きがある。既に、NYダウは景気対策を催促して、8月9日の安値1万604ドルから9月1日には1万1716ドルまで10.4%値上りしていた。今回の悪い雇用統計によって、見出し的効果は大きく、「催促」はいっそう強まるものとみられる。

  実際、早速、オバマ大統領は8日にも景気対策についての声明を発表するという。さらに、9月20日、21日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)で景気対策「QE3」(第3次量的緩和)が検討されるもよう。

■悪いことを放置できないのが政治の役目

  足元の統計数字が悪いからといって、今は弱気は禁物である。悪いことを放置することはできない。「悪いからこそなんとかするのが政治」だからだ。これから、8日の大統領声明、20~21日のFOMCの景気刺激策の本気度をマーケットは読み込んでいくだろう。

  仮に、8日の大統領声明が期待されるものでなければマーケットは、もう一段下げて催促の動きを強めるものとみられる。

  NYダウが波乱含みながらも催促相場を強めることは日本のマーケットにとっても悪い話ではない。日本でも「野田新内閣」による「経済復興」を買う相場が予想されている。猛暑のあとの今年の秋は、日米とも政治に対する期待が一段と強まっている。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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