ヤマダ電機、住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収 公開買付けを実施

2011年8月12日 19:03

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ヤマダ電機、住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収 公開買付けを実施。イメージは同社ウェブサイトより。

ヤマダ電機、住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収 公開買付けを実施。イメージは同社ウェブサイトより。[写真拡大]

 ヤマダ電機は12日、老舗住宅メーカーのエス・バイ・エル社の普通株式を公開買付け(TOB)により取得すること、及び対象者の第三者割当増資を引き受けることを決議したと発表した。エス・バイ・エル社を買収し、連結子会社化する。

 買付けの期間は、8月15日から10月4日まで。買付けの価格は、普通株式1株62円。買付け予定数は上限8500万株で、下限は6740万株。応募株券等の総数が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券等の全部の買付けを行わない。

 同社は、近年、スマートハウスビジネスに取り組み、「省エネ」家電の積極的な提案や普及推進、太陽光発電システム提案による「創エネ」、自ら創り出した電力や余った電力を蓄え必要な時に使える「蓄エネ」のトリプルエコ提案を行い、家電専門小売業のリーディングカンパニーとして、日本が直面する「電力事情」や「CO2排出量の削減」、「環境への配慮」といったグローバルな問題にも積極的に取り組んでいる。

 具体的には、2009年1月にオール電化事業部を設立、2010年1月にスマートグリッド推進室を設立、2010年12月に電気自動車(EV)の販売を開始、今年3月にヤマダ電機スマート販売を設立、同月にスマートグリッド事業本部を設立し、これまで別個に行っていた太陽光発電・店頭でのオール電化・電気自動車(EV)の販売、中古住宅販売のそれぞれの事業を統合。これにより、多種多様なスマートハウス関連商品をトータルかつワンストップで提供し、顧客の省エネ・利便性向上に加え、環境負荷の低減につなげる総合的なプロデュースが可能な体制を整えた。また、今年3月に事業所向けのLED照明のレンタル事業を開始し、今年4月には家庭用蓄電池の販売も開始し、東日本大震災による電力不足に対応するため、顧客への省エネ家電の積極的な提案を行っている。

 同社は、スマートハウスビジネスの積極的展開のため、既築の中古住宅に太陽光発電装置を搭載し、オール電化を施して再販売する事業を試験的に進め、ノウハウを蓄積してきたが、東日本大震災による電力不足の影響から、全国的な省エネ意識の高まりは急速に拡大。「当社グループとして、スマートハウスビジネスの事業展開スピードを上げていくことが急務であり、そのためには新築住宅を含めた住宅事業のノウハウの獲得が必要であるとの判断に至った」という。

 一方、エス・バイ・エル社は、創業60周年を迎える歴史のある老舗住宅メーカーで、木質パネル工法を主体とした高い技術力と「小堀住研」時代からの優れたデザイン力に定評がある。

 「エス・バイ・エル社は従来の戸建住宅メーカーの枠に捉われない柔軟な発想で顧客のニーズに対応しており、その創造的な経営方針と当社の従来の家電量販店の枠に捉われない『創造と挑戦』の理念が一致し、当社が推進しているスマートハウスビジネスの展開加速のために、エス・バイ・エル社の戸建住宅のノウハウが有用であること、またエス・バイ・エル社にとっても、当社と提携することで、信用力が向上し、営業力の強化につながることから、当社は、平成23年8月12日に、当社がエス・バイ・エル社を連結子会社化し、両社が強固なパートナーとなることが、両社グループの一層の企業価値の向上に資するものであるとの判断に至り、本公開買付けを実施し、あわせてエス・バイ・エル社の実施する第三者割当増資の引受けをすることにした」と同社はコメントしている。

 買収後の具体的な取り組みについては、「今後両社で検討を進める」としているが、現時点においては、同社の販売店舗にエス・バイ・エル社のモデルハウスを設置し、住宅、省エネ家電、電気自動車(EV)等を組み合わせた顧客への複合的な提案の実施、また、エス・バイ・エル社が過去に販売した戸建住宅のオーナーへの太陽光発電システム等を含めたリフォームや省エネ家電、電機自動車(EV)等の販売における協業等を両社で進めていくことを考えているという。

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