短期資金中心の素早い「居合い抜き」的な相場展開へ=犬丸正寛の相場展望

2011年7月1日 18:45

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

来週(4~8日)以降の相場は、外国人投資家が「消費税10%」を評価して買い姿勢を高めてくるかどうかが見所だろう。

来週(4~8日)以降の相場は、外国人投資家が「消費税10%」を評価して買い姿勢を高めてくるかどうかが見所だろう。[写真拡大]

★マーケットが力強い相場となるには株価上昇のほかに出来高も膨らむ必要が!

  来週(4~8日)以降の相場は、外国人投資家が「消費税10%」を評価して買い姿勢を高めてくるかどうかが見所だろう。

  国内の金融機関、投信、事業会社、そして個人の中長期投資はいずれも主役として期待することは難しいだろう。東京電力 <9501> など電力株の大幅下げで新規投資より終戦処理に追われているとみるべきだろう。

  こうした動きを如実に現しているのが東証1部の出来高。1日当りの出来高が20億株を超えたのは、5月が4営業日、6月はわずかに2営業日にすぎなかった。

  しかし、日経平均は1日(金)には場中で9900円台に乗せるなど値段としては堅調である。そのことは決して悪いことではないものの、難クセをつけるなら、売物の枯れている真空地帯を上げ下げしているにすぎない。マーケットが力強い相場となるには株価上昇のほかに出来高も膨らむ必要がある。それができていない。

  今後の注目点としては   (1)日経平均はどのあたりまで売物の少ない真空地帯か。   (2)商いを伴うためには、唯一頼りとなる外国人投資家が買いに出るか という2点である。

  まず、最初の点については、日経平均の「価格帯出来高」でみれば1万400円程度までは比較的に売物は少ない。1万400円といえば、東日本大震災の発生する直前の3月10日頃の水準である。株価的には、このあたりまで戻す可能性はあるだろう。

  しかし、それ以上となると予想される売物はかなり多い。誰が買うか。この点が2つ目のポイントである外国人投資家が本腰を入れて買うだろうか、という視点である。

  基本的には外国人投資家は政治が揺らいでいる国の株には積極的にはならないはず。とくに、ギリシャの今の姿は将来の日本の姿ともいわれるだけになおさらだ。仮に、それをくつがえして買ってくるとすれば、政府が消費税10%を正式に打ち出したことだろう。財政悪化を食い止められるからだ。

  ただし、今後、野党との論戦の中で成立するかどうかが注視される。

  一方で、早くも猛暑が到来。「節電」が少なからず、経済活動面、消費面に影響を及ぼす心配がある。しかも、外国人投資家にとって夏は仕事より休暇である。こうしてみると、これからも出来高が急速に上向くことは期待し難いようだ。短期資金中心の素早い「居合い抜き」的な相場展開が予想されそうだ。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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