米国の「クシャミ」と「肺炎」の関係式は極低位値ごろ株で市場テストも一法=浅妻昭治

2011年6月13日 15:23

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

「米国がクシャミをすれば、日本は風邪を引く」といわれて久しい。久しいどころか、最近の東京市場は、ますます「クシャミ」をした米国人投資家に引き摺り回され、当事者能力をほとんど喪失していることを痛感させられ日々を過ごしている。

「米国がクシャミをすれば、日本は風邪を引く」といわれて久しい。久しいどころか、最近の東京市場は、ますます「クシャミ」をした米国人投資家に引き摺り回され、当事者能力をほとんど喪失していることを痛感させられ日々を過ごしている。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  「米国がクシャミをすれば、日本は風邪を引く」といわれて久しい。久しいどころか、最近の東京市場は、ますます「クシャミ」をした米国人投資家に引き摺り回され、当事者能力をほとんど喪失していることを痛感させられ日々を過ごしている。

  しかし、この相場ロジックは、逆もまた真であるはずだ。それを図らずも明らかにしたのが、今回の東日本大震災の被災による日本のサプライチェーン(供給網)の寸断である。このところの経済指標の発表で、5月以降の米国の景気減速が次々に顕在化しているが、その要因に、1~3月のガソリン価格の上昇による個人消費の抑制、3月のサプライチェーン寸断による製造業受注の伸び悩みなどが上げられているからだ。「日本が風邪を引く」と少なくとも「米国がクシャミをする」程度の密接な経済関係が、厳然と存在していることが浮き彫りになった。

  もともと米国自体も、完全な健康体であったわけではない。あのリーマン・ショックからすでに2年9カ月を経過しているが、いまだに住宅市場は低迷しているうえに、雇用情勢もなかなか好転しない。「風邪は万病のもと」である。「クシャミ」が「微熱」につながり、さらに「風邪」を誘引するようなことになれば、先行きの景気は、一時的な減速にとどまらず、2番底も懸念される。「クシャミ」が、「肺炎」にまで重症化する関係式、悪化シナリオである。

  このリアル・エコノミーの「クシャミ・風邪」関係式は、マネー・マーケットには何倍にも拡大して返ってくる。積極的なリスク投資が、リスク回避に逆回転し、「株安スパイラル」、「世界同時株安」の懸念なしとはしないのである。5月に続き6月も、いやこの夏相場も含めて、投資家は難しい投資判断を迫られるわけだ。

  「相場は相場に聞け」という相場格言がある。米国のクシャミが重症化するかしないか関係式を試す市場テスト方法がいくつかある。その一つが、極低位値ごろ株買いである。極低位値ごろだけを株価材料とする銘柄が、有力セクターとして幕間相場の一角を形成することになれば、それだけファンダメンタルの経済環境はアゲインスト、輸出関連の主力株は調整相場入りとウラ読みできることになる。そうなればパフォーマンスもバカにはできない。

  もちろんこのテスト方法は、「腕に覚え」の個人投資家向け限定で、「リクツはあとから貨車でやってくる」、「上がる株が成長株」との徹底的な割り切りがなければとても関与できない。すでにこの投資癖のある投資家は、大挙して東京電力 <9501> あたりで試行錯誤しているようだが、バブル相場崩壊前まではウマく機能したこのテスト方法も、最近は主力株自体が材料株化して極低位株に取って替わり、やや失速気味であることもまた確かではある。それを承知で敢えて今回は、この極低位値ごろ株投資のリサーチをしてみることにしたい。詳細銘柄は株式投資情報ブログで解説しているのでご覧ください(「株安に不思議な株安なし」で「ご意見無用」の10銘柄が浮上)。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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