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ここがポイント-会社を伸ばす中小企業の採用戦略:第5回 会社を理解してもらうために(1)(1/2)
採用活動に真面目な会社ほど、「人材をしっかり見極めよう!」と応募者を評価することに意識が向かいがちになりますが、応募者も「自分の希望に合っている会社か」「自分の働く場に相応しいか」と会社を評価していることを忘れてはいけません。
今回は、採用活動の中で応募者に自分たちの会社を理解してもらうことの大切さと、会社理解を進める上でのポイントについてご紹介していきます。
■会社理解のギャップは退職動機につながる
せっかく苦労して採用したのに、短期間ですぐ辞めてしまう人に遭遇した経験は、多くの皆さんがお持ちだと思います。1年以内で辞めてしまうような人の場合、私はほぼ100%の原因が、採用段階での会社理解の行き違いにあると考えています。要するに「初めの話と違う」「思っていたのと違う」「こんなはずじゃなかった」ということです。「採用したが期待はずれだった」などと言う例も、会社が望んでいたレベルと応募者が思っていたレベルが違った訳で、行き違いの一種と言えるでしょう。
■なぜ行き違いが起こるのか
行き違いはお互いの理解不足ですから、当然応募者側の問題もありますが、多くは企業側の情報提供の仕方に起因しており、意外に肝心なことを伝えていないということがあります。
この情報提供の問題には、状況によって概ね以下の3パターンがあります。
(1) 意図的に伝えなかった
(2) 伝えてはいたが、その後事情が変わり、結果的に話が違ってしまった
(3) 伝えるべき事項が何かを認識できていない、思い込みなど、純粋な意思疎通不足があった
(1)は論外と言えばそうなのですが、中小企業の場合、「こんな事を言ったら辞退されてしまうのではないか」など、何かと言いそびれてしまうようなこともあるようです。心情的にわからなくはないですが、入社すればいずれわかってしまう事でしょうし、後で「実はこうだった」となった時、信頼関係を失う度合いはハンパでは済みません。すぐに退職とはならないまでも、気持ちよく仕事をしてもらうのは当分難しいでしょう。帰属意識の薄い不満分子になってしまうかもしれません。
そんなことになるならば、言いづらい現実も伝えるべきですし、それで辞退されるならば縁がなかったとあきらめるしかありません。少しでも言いづらい現実が無くなるように、自社の改革を進めていくしかありません。最近は雇用状況の厳しさに付け込んで、後出しジャンケンのようなことをする会社も見受けられます。やはり伝えない、隠すというのは論外となるのでしょう。
(2)は主に中途採用の場面で出て来ますが、事前に伝えていた内容が、プロジェクトが延期になった、仕事が受注できなかった、他部門の欠員でそちらに回さざるを得なくなったなど、入社の直前直後に様々な事情で話が違ってしまったという場合です。確保した人材で丸く収めたいとの意識が強く働くためか、伝え方をあいまいにしたり、隠したり、伝えるのを先送りしたり、了承しろと強引に迫ったり、という行為が行われることがあります。
本来ならば事前に見通せる範囲で状況変化の可能性を伝えておくこと、話が変わった段階で速やかに誠意を持って話し合うことしかありませんが、このやり方を誤ると、やはり(1)とまったく同じ状況になってしまうでしょう。
(3)は自社の事をよく知ってもらいたい、その上で入社してほしいと思っているものの、それがうまく行われていない場合です。会社によって程度の差はありますが、このケースが圧倒的に多いと思われます。前述の(1)と(2)については、やり方以前の基本姿勢の問題ですが、この(3)については、ちょっとした意識の仕方や伝え方の工夫で改善していける部分です。ご紹介していくポイントも、この点に絞ってお伝えしていこうと思います。
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