「反原発」運動の再燃と「ジャスミン革命」の狭間で浮上する関連株とは?=浅妻昭治

2011年4月4日 16:06

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

かつて「反原発」運動には、産油国から運動資金が提供されているとするウワサが盛んであった。「産油国黒幕説」である。真偽のほどは定かではなかったが、2度にわたる石油危機で価格決定権を増したOPEC(石油輸出国機構)と専守防衛に回った先進需要国連合のIEA(国際エネルギー機関)の攻防が激化するなか、なかなか説得力のあるウワサであった。

かつて「反原発」運動には、産油国から運動資金が提供されているとするウワサが盛んであった。「産油国黒幕説」である。真偽のほどは定かではなかったが、2度にわたる石油危機で価格決定権を増したOPEC(石油輸出国機構)と専守防衛に回った先進需要国連合のIEA(国際エネルギー機関)の攻防が激化するなか、なかなか説得力のあるウワサであった。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

■石油・LNG開発関連株に再度のアプローチ

  かつて「反原発」運動には、産油国から運動資金が提供されているとするウワサが盛んであった。「産油国黒幕説」である。真偽のほどは定かではなかったが、2度にわたる石油危機で価格決定権を増したOPEC(石油輸出国機構)と専守防衛に回った先進需要国連合のIEA(国際エネルギー機関)の攻防が激化するなか、なかなか説得力のあるウワサであった。経済合理性からしても、エネルギー安全保障のために原子力発電所の建設が拡大すれば、石油火力発電のウエートはそれだけ低下し、産油国の頼みの石油需要の減少につながるからである。「反原発」運動をオイルマネーがサポートしても不思議はないとみられた。

  この「産油国黒幕説」は、いまやまったく説得力を失った。当の産油国自体が、原発建設に踏み切っているからである。自国の電力需要は、原子力発電で充足させ、石油、LNGは輸出に振り向けるエネルギー政策だそうで、アラブ首長国、サウジアラビア、クウェートなどで原発建設が進んでいる。さらに、原発建設を凍結していた米国や英国、ドイツなどが、地球温暖化防止の一環から建設再開を打ち出し、「反原発」どころか原子力発電が復権する「原子力ルネサンス」へと様変わりとなってきた。

  東京電力 <9501> の福島第1原子力発電所の事故が、この「原子力ルンサンス」に大きな冷や水を浴びせたのは、新聞、テレビで再三にわたり指摘されている通りだろう。世界的に「反原発」運動が再燃する可能性がある。ただこの「反原発」運動に「産油国黒幕説」が再登場する展開は、間違ってもまずあり得ないだろう。チュニジアの「ジャスミン革命」以来、北アフリカ・中東の「政権崩壊ドミノ」が、産油国にそうした余裕を与えるとは考え難いからである。

  前置きが長くなった。本論は、「反原発」運動が高まり、産油国の政情が不安定化しエネルギー・セキュリティーが揺らぐなか浮上する関連セクターは何かということになる。もちろん在来エネルギーの石油、LNG開発にブームが再来するという結論になる。海洋石油開発関連の日本海洋掘削 <1606> 、三井石油開発 <6269> 、鉱研工業 <6297> (JQS)、LNG開発・生産関連のエンジニアリング大手の日揮 <1963> 、東洋エンジニアリング <6330> 、千代田化工建設 <6366> がまず注目となる。

  さらに日本では数少ない石油上流会社の国際石油開発帝石 <1605> や関東天然瓦斯開発 <1661> 、石油資源開発 <1662> もポートフォリオから外すわけにはいかない。大手商社もこの関連株となるが、原子力関連開発と二股の企業もあり、化石燃料ウエートの比較的高い三井物産 <8031> 、三菱商事 <8058> あたりまでにとどめるのが無難かもしれない。

  福島原発事故では、放出された放射性物質を地表で固定化する飛散防止剤で栗田工業 <6370> が急騰したり、放射能測定の線量計で理研計器 <7734> がストップ高するなど、日替わりメニューで関連株が登場している。石油・LNG開発関連株も、大震災発生でリスク回避売りに見舞われて急落し、急落前の水準までリバウンドしたところだが、2段上げの待ち伏せ買いで可ということになる。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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