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【特集】東北地方太平洋沖地震:電力不足と自家発電設備の整備促進
東北地方太平洋沖地震の影響で、食料、飲料、燃料、生活用品、医薬品などの物資不足が深刻になっている。甚大な被害を受けた被災地では、ライフラインが復旧していない地域も多く、物資不足のために避難所での厳しい生活を強いられている。[写真拡大]
■電力不足が企業活動や市民生活を直撃
東北地方太平洋沖地震の影響で、食料、飲料、燃料、生活用品、医薬品などの物資不足が深刻になっている。甚大な被害を受けた被災地では、ライフラインが復旧していない地域も多く、物資不足のために避難所での厳しい生活を強いられている。被災地域が広範囲だったうえに、道路の損壊などで物流網が混乱しているのだろう。
東北地方に比べれば被害が少なかったはずの首都圏でも、物資不足が目立っている。この背景としては、首都圏への食材や製品の供給拠点となっていた東北・北関東地方が甚大な被害を受けたことで、日本全体の生産能力が一時的とはいえ、大幅に減少していることもあるだろう。
甚大な被害を受けた生産拠点だけでなく、被害が比較的少なかった周辺地域の生産拠点でも、電力不足、燃料不足、物流混乱などの影響で生産の正常化が遅れているようだ。さらに、福島原子力発電所の安全問題や首都圏での計画停電によって、市民の不安心理が高まり、首都圏などでは買いだめが発生しているとみられることも、物資不足に拍車をかけている要因だろう。
石油精製・石油化学業界では、国内の供給過剰を解消するために過剰設備の統廃合が課題とされていたはずであり、燃料不足は一時的とも考えられる。しかし、被災地での避難生活の改善だけでなく、復興に向けて企業の生産活動が正常化するためには、電力の安定供給が最大の課題となるだろう。そして不安心理を静めるためにも、まずは福島原子力発電所の安全性が早期に確認されることを願う。
■復興に向けて自家発電設備の整備促進の可能性
さて、復興に向けての特需シナリオの一つとして、自家発電設備や非常用発電設備の整備促進について考えてみたい。
上述したように、電力不足は被災地における避難生活だけでなく、周辺地域における企業の生産活動や市民の日常生活にも多大な影響を与える。そして、ライフラインの回復や仮設住宅の建設などの復旧が進んでも、その後の東京電力による電力供給不足が懸念されている。
福島原子力発電所の安全問題が落ち着けば、火力発電所の稼働率上昇、休止発電設備の再稼働、融通設備の増強など、電力の安定供給に向けた対策が進むと考えられるが、東京電力の供給能力が震災前の水準に回復するには、かなり長期の時間を要する可能性が高い。
また東京電力に限らず、他の電力会社においても今後、自然災害や事故による電力供給能力の減少という事態を想定しなければならない。そうした状況の中で、国、地方自治体、そして企業は、リスク管理の一環として自己防衛を迫られることになるだろう。
自己防衛策の一つとして考えられるのが、自己発電設備や非常用電源設備の整備だろう。鉄鋼各社のように、自社の生産拠点に自家発電設備を備えている企業は少なくないが、今後は官公庁庁舎、公民館、学校、病院、イベントホールなど自然災害時の避難場所となりうる施設や、企業の生産拠点、大規模ビル、大規模商業施設などで、大規模な発電設備を導入する可能性があるだろう。さらに一般家庭においても、小型設備の導入が進む可能性が考えられる。発電に必要な燃料が重油などの場合には、その備蓄や流通に課題が残るものの、電力会社からの安定供給に対する信頼感が失われた今、自己防衛策が課題となるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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