NY紙、「菅首相はTPPに参加するまで辞めない」と報道

2011年2月26日 13:24

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

菅首相が施政方針で唱えた「平成の開国」。その目玉政策ともいえるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、6月までに参加するかどうかを決定するということだが、首相官邸はこれまで事実上、参加を前提に与党内や関係省庁、業界との対応・調整を進めてきた。

菅首相が施政方針で唱えた「平成の開国」。その目玉政策ともいえるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、6月までに参加するかどうかを決定するということだが、首相官邸はこれまで事実上、参加を前提に与党内や関係省庁、業界との対応・調整を進めてきた。[写真拡大]

【「霞ヶ関発・兜町着」直行便】

  菅首相が施政方針で唱えた「平成の開国」。その目玉政策ともいえるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、6月までに参加するかどうかを決定するということだが、首相官邸はこれまで事実上、参加を前提に与党内や関係省庁、業界との対応・調整を進めてきた。

  だが、このところの与党内『叛乱』や予算関連法案成立の絶望視などによる『政権危機』から、TPPどころではなくなって来ている。だが、どうやらこの協定に熱心な米国側は日本の参加を、菅首相との『約束』と見ているフシがある。オバマ大統領はじめ米政権はそれほどこの協定に、米経済の浮沈をかけているのだという。日本の新聞はこのところこの問題をあまり報じていないが、米紙はどう報じているのだろうか。2月14日(月)付けのニューヨークタイムスの記事を探ってみよう。

  「太平洋自由貿易グループへの参加は、日本にとって最高に喜ばしい行為だ」

  元気のない日本経済が早く回復する薬と、この国のボンド市場の決算が6月に決定することをすべての人々が待ち望んでいる。

  菅直人首相がもしその時までその職に在り、米国がリードするTPP即ちアジア・パシフィック・フリー・トレード協定に、日本が参入することが出来れば尚更でよいことである。

  今や人気の衰えた首相だが、このTPP参加には更に強力な農業団体の反対がある。それにも耐え、交渉に参加できれば、早い段階でのフリー・トレード・グループに加わることができる。日本政府も商品やサービスの障壁を減らすことで、年間0.5パーセントの成長を達成することが出来ると見込んでいる。

  賛成派はTPPに参加することによって、自国のマーケットを開き、また中国に追い抜かれて沈んでいる社会を活性化することが出来ると指摘する。

  ニューサウスウェルズ大学(豪・防衛研究所・キャンベラ)のジョージ・ムルガン教授は、この通商協定にサインすることで、日本はライバルである韓国や中国に対し、自国の大手企業が決して不利な状況に置かれることはないと説明している。

  彼女は『日本はTTPに加わるべきだ。でないとアジアブームから取り残されてしまう』とも述べている。

  更に彼女は次のように述べている。『彼らにとって、もはやアジアが国内市場である。彼らには将来の成功のための要素が必要だが、このことがストーリーの大事な部分だ。』

  オバマ大統領は、5年以内に米国の輸出を2倍にするとの目標の下で、この協定に取り組んでいる。

  米国はオーストラリア、ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージランド、ペルー、シンガポール、ベトナムと交渉を続けている。

  オバマ大統領が今年11月にハワイで主催する、アジア太平洋経済共同体フォーラムの年次総会まで、この交渉を完成させたいと強く望んでいる。

  ASEANは近隣6カ国、更に中国を含み総合的な貿易協定にサインした10カ国とも親密な経済統合をすでに行なっている。

  マニラにあるアジア開発銀行のガネシャン・ウィグナラジャは、中国とリンクする地域生産チェーンを統合するビジネスコミュニティが必要だと信じている。TPPとASEANと他の6つの国々の間での協定が混ざり合っていくことが構想されると。.

  彼は『アジア・太平洋に関わる協定は、中国を抜いて成り立たない』と述べる。『これからは様々な問題やメンバーシップを含む相互に関連した協定が出来ることが必要で、それによって総合的統合の機運が生まれる。しかし、それらはこれから10年はかかるだろう。』

  日本における最優先課題は、既にTPPに参加している国々からの厳しい要求である。

  TPPの目的は、10年以内にすべての参加国間で、トレード障壁を取り除くことである。米国企業は日本の農業、サービス、そして工業市場に内在する障壁にも関わらず、オバマ大統領に対し、日本に早く交渉に参加させるよう急がせている。

  平均66歳の日本農家は、国民生産のわずか1%しか占めていない。しかし、農村の有権者たちは日本の選挙制度においては不釣合いな程に大きな力を発揮している。東京は米において778%、小麦において252%の関税によって農家を守っている。

  オープン市場協定によって、農業分野はシンガポールとの間で、2002年以来、金魚と切花の関税を取り除いて来たように、貿易障壁が大きく取り払われるようになる。

  農業や他の保護されてきた分野を、競争に立ち向かせるということは大変革である。

  菅首相は20年間主張し続けた『停滞感』を壊すことになる。

  先月、菅首相は『思想と経済の発展のためには国を開く事が大事である』と述べた。

  早稲田大学の浦田秀次郎教授は、『貿易障壁をなくすことは資源の効率的分配と企業の改革を推進することになる。日本政府は自由で更にオープンなビジネス環境の下で、日本企業が競争力のあるビジネス戦略を導入するための緩和的な政策改革が必要だということを認識するべきである』と「EAST ASIAフォーラム」の論文に書いている。

  希望のある自由貿易協定の交渉に加わるかどうかは、日本が将来をどのように見ているかによる。オープンでダイナミックな将来か、あるいは希望のない経済構造に縛られる将来か。

  日本はこれからも豊かで、国債を買いたがる相手もいるだろう。事実、市場は最近の格付け機関、スタンダード&プアーズ社のランク・ダウンを無視した。

  日本は急速に老齢化しており、膨大な借金を増大し続けている。これはもはやGDPの2倍に達しており、経済成長のためには借金の比率を安定させる必要があることを示している。

  海江田万里・経済産業大臣によると、『だからこそ協定に参加することが必要である』と主張する。『もし日本が3,4%の経済成長を望むならば、アジアとはもちろん、長期的にはアフリカ、ラテンアメリカ、他の新興国との繋がりを持つべきだ。そうではないと、我々は老齢化する社会の社会保障を提供することができない』と、先に行なわれたダボス会議で述べた。

  前出のムルガン女史は、『菅首相は今の職に長く留まり、協定に参加するまで自分の力を発揮するであろう』と言う。また、『最小の犠牲でTPPに参加する道を試みるだろう。それに対し、他の国々はいかに日本の要求に強く当たってくるか、それ次第である』とも。

  『菅首相はそう簡単には退陣しない』、それも『TPP参加に執念を持っている』とのムルガン教授の見方は『意外』であった。日本の政局や支持率ばかり気にかけている我々にとっては『新鮮』ですらある。しかし、冒頭にも触れたが、このTPP参加問題はすこぶる『日米関係』であることがはっきりしてきたようである。TPPは『日米経済安保』である。この記事の原題は「Japan Premier's Balancing Act on Joing  Pacific Free Trade Group」である。Premierを「最高の」と訳したが、これは「首相」すなわち菅首相とも取れる。因みに「Balancing Act」は辞書によれば「対立する二者の両方を喜ばせる行為」とある。タイトルからして何とも意味深である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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