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官製予測はまたもバブルの引き金になるか!そのバブルとは?=浅妻昭治
1980年代後半の「資産バブル」の直接の引き金は、旧国土庁(現国土交通省)が発表したオフィスビル需給予測にあるといまだに広く、強く信じられているフシが兜町にはある。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
■1980年代後半「資産バブル」の引き金は?
1980年代後半の「資産バブル」の直接の引き金は、旧国土庁(現国土交通省)が発表したオフィスビル需給予測にあるといまだに広く、強く信じられているフシが兜町にはある。同予測は、ペーパー程度のささやかな資料で、取り上げた新聞報道もベタ記事ほどの扱いにとどまったが、外資系金融機関の日本進出などで東京地区のオフィスビル・スペースが不足となり需給が逼迫すると予想し、折からの地価上昇、再開発ブーム、地上げ横行に拍車を掛けたからだ。
兜町でも、日本版ウォールストリート構想などとネーミングされた再開発計画に絡む用地買収が、経営破たん(自主廃業)した山一証券の元本社を含む地域一体で進み、まだまだ買収価格は上がるとして天井売りを狙った一部地権者が、結局、売り損なって地価暴落で一敗地にまみれた話などが、昨日のように語り継がれている。
■農林水産省発表リポートはバルブ引き金になるか?
さて本題である。今年2月18日に農林水産省が発表した「2020年における世界の食料需給見通し」と題するリポートは、旧国土庁のオフィスビル需給予測と同様にバルブに引き金になるか、それとも似て非なるものかという問題である。
同見通しでは、小麦、とうもろこし、大豆から植物油、牛肉、豚肉などまでの農・畜産物の名目価格が、2020年にかけて基準年の2008年に対して24~57%も高騰すると予測された。人口爆発、新興国の経済発展・所得向上による肉食シフト、バイオ燃料向け農産物の需要増加、異常気象による干ばつなどを要因に、世界の穀物消費量の増大と供給制約が相乗し、価格の上昇傾向が推移すると分析された。
折りが折りだけに新聞、テレビの報道もベタ記事程度の扱いとは大いに異なった。同じように価格が高騰中のコーヒーとリンクさせ、生産国から輸入・卸売事業者、喫茶店、小売店、消費者まで幅広く取材し、影響の大きさに警鐘を鳴らしたテレビニュースも見受けられた。2月19日に閉幕した20カ国・地域財務省・中央銀行総裁会議(G20)でも、食料価格高騰が、北アフリカの政権崩壊ドミノの一因になったこともあり、G20の下部に投機マネーの影響を検証するなどの作業部会を設置し、さらに6月には初めてG20の農相会議を開催することを決定した。
■農業関連株で再度の打診も一考余地!
農水省の需給予測が、旧国土庁の需給予測並みのインパクトがあれば、これは即「農産物バブル」は間違いないところだが、その割には同予測が、報道された2月18日後場の株価の食い付きは芳しくなかった。食料自給率の低い日本株にとってむしろ売り材料と捉えたのかなど不明で、評価はこれからだろう。ただ全般相場が、政権崩壊ドミノがリビアにまで波及して政情不安で波乱様相を強めていることから、物色銘柄が変わる可能性もあり、関連株をマークしておくことも投資戦術として一考の余地があることになる。
関連株は種苗株、砂糖株、農薬株、肥料株、農業資機材株、植物工場株、農機株、穀物サイロ株、海運株、農業生産法人株など幅広い。そのなかから投資採算にも乗るカネコ種苗 <1376> 、キユーピー <2809> 、日東紡 <3110> 、日産化学工業 <4021> 、エア・ウォーター <4088> 、アグロ カネショウ <4955> 、イハラケミカル工業 <4989> 、北興化学工業 <4992> 、サイゼリヤ <7581> 、イオン <8267> 、日新 <9066> 、日本郵船 <9101> 、川崎汽船 <9107> などのいずれかに絞って待ち伏せるのが無難かもしれない。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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