株式評論家・海老原紀雄氏に2011年の相場を聞く=犬丸正寛

2011年1月1日 12:36

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

ズバリ、2011年の日経平均は。 【海老原氏】 下値9000円、上値1万2000円とみています。雰囲気としては、4月に高値をつけ、9月に安値をつけた2010年と大きくは違わないと感じています。

ズバリ、2011年の日経平均は。 【海老原氏】 下値9000円、上値1万2000円とみています。雰囲気としては、4月に高値をつけ、9月に安値をつけた2010年と大きくは違わないと感じています。[写真拡大]

【米国金利動向が最大の注目材料』】

■米金利上昇なら資金の流れが新興国資源から株へ流れる

――ズバリ、2011年の日経平均は。

 【海老原氏】 下値9000円、上値1万2000円とみています。雰囲気としては、4月に高値をつけ、9月に安値をつけた2010年と大きくは違わないと感じています。

――注意する動きは、どのようなことでしょうか。

 【海老原氏】 1にも、2にもアメリカの経済、とくに、「アメリカの金利」からは、ひと時も目が離せません。アメリカの金利次第で相場はがらりと変わる可能性があります。今年は2010年と雰囲気は、大きくは違わないと言いましたが、それは、アメリカの金利が大きく変化しないという前提です。

――なぜ、アメリカの金利ですか。

 【海老原氏】 アメリカの資金供給量は50兆円とたいへんな規模です。日本の5兆円も小さいわけではありません。しかし、デフレが進行している日本では、砂に水が吸いとられるごとく、インフレを引き起こすほどの効果はないでしょう。この点、アメリカについては、インフレの芽を含んでいると思います。とくに、クリスマス商戦が予想以上に好調で高級品も売れているようです。さらに、どこかの時点で、住宅と雇用に明るさがみられるようになると、アメリカの金利は一気に反転上昇となるでしょう。アメリカの金利が上昇に転じれば、2010年に起きたことと、まったく逆のことが予想されます。

――アメリカの余剰資金と低金利によって、新興国に向かっていた資金の流れが変わるということですか。

 【海老原氏】 そうです。世界の資金が金利の高い新興国の国債等、さらに、資源に向かいました。その結果、海外債券等を組み入れた毎月分配型の投信が日本の投資家に人気でした。もう一方で原油、金、トウモロコシなどが値上がりしました。しかし、アメリカの金利が上昇となれば、この両方(高金利商品と資源)が頭を打ってしまいます。前提が変わってくるのですから当然です。その結果、今度は、資金が株へ回るはずです。同時に、アメリカの金利上昇はドル高・円安要因ですから、日本株にはプラスに働くでしょう。アメリカの金利が、いつから上がり始めるかを、見逃してはいけません。必ず、毎日、チエェクして変化を嗅ぎ取ることです。早く、変化をつかんだ人が2011年相場では成果を挙げることができるでしょう。

――ヨーロッパの問題はいかがでしょう。

 【海老原氏】 ヨーロッパの財政危機は、既に、かなり織り込んでいると思います。ただ、3,4月にスペインの返済問題がありますので、一時的には影響を受けることは予想されます。

――どのような銘柄等に注目されていますか。

 【海老原氏】 REIT(不動産投信)に注目しています。とくに、利回りは4%以上です。毎月分配型の投信と同じような感覚で注目することができると思います。資源関連では、「金」、「原油」は、かなりの水準に来ていると思います。変わって、出遅れている「穀物」関連で、肥料、飼料関連の銘柄に注目しています。スマートグリッド(次世代送電網)関連で富士電機ホールディングス<6504>(東1)は有望と思います。

――ありがとうございました。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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