カナダの不動産投資『ランドバンキング』=犬丸正寛の見聞記

2010年12月17日 19:20

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

このほど、都内で開催された『ランドバンキング』のセミナーに出席した。夕方6時半、東京国際フォーラムのセミナールームは定員いっぱいの50人。開催したのは、カナダ・トロントに本社を置く、TSIグループ・オブ・カンパニーの日本法人「TSIインターナショナル・グループ」。『ランドバンキング』の説明は藤本直孝バイスプレジデント(写真)にバトンタッチした。

このほど、都内で開催された『ランドバンキング』のセミナーに出席した。夕方6時半、東京国際フォーラムのセミナールームは定員いっぱいの50人。開催したのは、カナダ・トロントに本社を置く、TSIグループ・オブ・カンパニーの日本法人「TSIインターナショナル・グループ」。『ランドバンキング』の説明は藤本直孝バイスプレジデント(写真)にバトンタッチした。[写真拡大]

■TSIインターナショナル・グループのセミナー

  このほど、都内で開催された『ランドバンキング』のセミナーに出席した。夕方6時半、東京国際フォーラムのセミナールームは定員いっぱいの50人。開催したのは、カナダ・トロントに本社を置く、TSIグループ・オブ・カンパニーの日本法人「TSIインターナショナル・グループ」(スティーブン・ハギンズ社長)。ハギンズ社長はフットボールのMVPに輝いた実績を持ち、在日のカナダ人の中でも存在感を増している。日本に来て11年、香港勤務も入れるとアジアでの生活は17年という。ハギンズ社長は、「今年は当社にとって成長した良い年でした。資本金はまもなく1億円弱(現在5000万円)にします。年明け1月にはオフィスも移します。2011年は、さらによい飛躍の年にします」と、よく通る声で挨拶。カナダ、アジア、そして日本中を飛び回る忙しさで、挨拶が終わると次のミーティングへ。『ランドバンキング』の説明は藤本直孝バイスプレジデント(写真)にバトンタッチした。

  『ランドバンキング』は、耳慣れない言葉。しかし、仕組みはいたって簡単。未開発の田畑、山林などの大規模な土地を手当てして、開発認可を得たうえで住宅地として売却し値上がり益を得る。かつて、日本でも電鉄会社が土地を手当てし、住宅地として開発したのと似ている。しかし、土地さえあればよいということではない。人里遠く離れた開発の目処のないところでは意味がない。あくまで、住宅地等の開発が見込める場所でなくてはいけない。残念ながら、既に、日本では開発され尽くされた感がある。

  日本に比べ、国土が広く、経済成長の目覚しいカナダ、とくにトロント周辺では住宅地等都市開発が活発という。このトロント周辺を地盤に同社の『ランドバンキグ』が注目を浴びているということだ。

  バイスプレジデント藤本直孝氏のあらまし説明に耳を傾けてみよう。「カナダは天然資源に恵まれています。原油確認埋蔵量は1800億バレルと、サウジに次いで世界2位。オイルサンドが中心です。LNGの生産量は3位で輸出量は2位、ウランは世界でトップクラスです。金、ニッケル、アルミも多く、最近注目されているレアアースも開発されています。カナダの人口3300万人に対し、資源量は国内で消化し切れないため資源の輸出余力が高いのが特徴です。10年前は対米ドルに対しカナダドルは30~40%低い水準でした。最近は資源高にも支えられ対米ドルでほぼ1対1の水準です」。 つまり、われわれには、カナダと聞けば観光としてのイメージが先に来る。しかし、観光だけでなく、経済力面から有力な投資先対象ということだ。

  さらに、藤本氏は強調する。「金融面での健全性は国家財政、民間金融機関とも世界でもトップクラスです。ただ、カナダでも出生率は低く、同時に高齢化も進んでいます。このため、アジアを中心に毎年20~30万人の移民を受け入れています。もちろん、誰でも受け入れるのではなく、若く、あるていど経済力があり、起業家、投資家、エンジニアなどカナダ経済に貢献が期待できる方々が中心です。こうした条件をクリアした移民の方々が移民して10年以内に住宅を購入する傾向が見られます。ここにも、当社グループのランドバンキグビジネスのチャンスが生まれているのです」。

  100~200エーカー程度の規模で土地を手当てして、その後、デベロッパー(不動産開発会社)に売却する。手当てした土地は細分化して投資家に販売する。投資家はカナダ政府に土地所有者として登記される。手当てしてから販売まで同社の場合、ほぼ5年が目安。2~3倍の値上がりを見込む。同社自身が造成したり、住宅を建てたりといったデベロッパーの業務は手がけない。あくまで、未開発土地を手当てして、デベロッパーへ売却することが目的。

  ならば、デベロッパー自体がランドバンキングをやればよさそうなもの。実はそれが難しいところに同社の強みがある。地域住民、地元自治体に精通していないと難しい。反対の地主があっては開発に遅れが生じる。あるいは、開発の目処のない場所を買っても意味がない。

  見込み通り、開発認可が下り、2、3倍に値上がりしたら投資家に売却の賛否を取る。51%の賛成があれば、その時点でデベロッパーへ売却し、持分に応じて投資家に売却金が分配される。 もちろん、リスクは絶対にないとは言えない。売却まで5年程度と期間が長いため、リーマンショックのような経済変動が起きないともいえない。ただ、同社が土地を担保に銀行等から借り入れを発生させて土地購入をやっていないことによる強さはある。あくまで、投資家の直接金融を中心としている安心感はある。そのかわり、投資家は途中での売却はできない。

  セミナーを聞きながら、日本での、かつての土地神話を思い出した。とくに、昭和40年代初めころは、土地投資がもっとも有利だった。その後、土地バブル崩壊に見舞われた。こうした流れに照らし合わせてみると、今のカナダは、日本の昭和40年代当時と似て、登り坂ではないかと思った。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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