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ワールドインテック:代表取締役会長の伊井田栄吉氏が中期経営計画を語る
■リーマンショック後に、不動産事業に進出する事を発表
人材派遣のワールドインテック <2429> は、12月2日に兜町平和ビルで中期経営計画(2011年から2013年)を発表した。
代表取締役会長伊井田栄吉氏が、同社の歩み、財務状況、金融バブル崩壊後の新規事業、中期経営計画の順で説明を行った。
同社は、信頼をもとに、全ての人が生き生きと喜びを持って働けるような「人が活きるカタチ」を実現することを約束している。
リーマンショック後には事業領域を広め、不動産事業に進出する事を発表。更に「人が活きるカタチ」を実践する体制を構築している。
人材派遣の企業が不動産業に進出することは唐突のように思えるが、同社の伊井田栄吉会長は、昭和56年に「みくに産業」という不動産会社を設立している。その後、人材派遣業のワールドインテックを立ち上げ、93年にジャスダック市場に上場する際に、「みくに産業」は切り離している。このような経歴から、「不動産に関しては、プロ中のプロです」(伊井田栄吉会長)と語るように自信を持っている。
上場後は、03年に台湾英特科人力(股)公司を設立し、製造派遣事業を台湾で開始。05年情報通信事業のイーサポートを子会社化、更に、08年には九州地理情報を子会社化している。09年には悟路徳商務諮(上海)有限公司を設立し、上海で人材コンサル・人材紹介事業を開始。同年リペア事業を行うためにエレクトロアンドエコロジー社を設立。更に、10年には、アドバン(スクール事業)を設立。上場後を振り返ると、海外にも進出し、精力的に事業の拡大を進めている。
■この時期を不動産事業参入への絶好のチャンスと捉え、不動産ディベロッパーを設立
今後事業展開するうえで重要な、キャッシュフローの期末残高の推移を見ると、05年12月期約30億円、06年12月期約35億円、07年12月期40億円強、08年12月期40億円弱、09年12月期約35億円とリーマンショックの後でも財務体質は健全で、09年までは規模拡大優先のM&Aも無く、実質無借金経営である。
その様な状況下、08年9月期のリーマンショックにより、日本経済は不況に見舞われたが、その中でも、特に不動産業界には壊滅的な打撃が与えられた。上場している不動産企業だけでも30数社が倒産する等、未曽有の事態となり、不動産事業は極めて不振に陥った。その結果、現在のマンションの供給戸数は急減し、需給バランスが崩れた状態となっている。
06年以降の首都圏マンション供給戸数は年間約7万5000戸から約3万5000戸までに縮小。しかし、今後人口の減少問題はあるものの首都圏だけは増加傾向にある。また、世帯分化の鈍化から需要はピーク時までは戻らないものの年間約6万戸までは回復すると見ている。
同社では、この時期を不動産事業参入への絶好のチャンスと捉え、今期、不動産ディベロッパーのワールドレジデンシャルを設立。同じく不動産ディベロッパーのニチモリアルエステートを子会社化し、更に施工管理派遣を行うヴェックも子会社化している。
■ファクトリー事業では、売上・利益・請負ブランドNo1を目指す
不動産事業への参入と共に同社の業績予想は大きく変わることから、伊井田栄吉会長は、具体的な数値を公表すると共に、事業の方針を明確に示した中期経営計画について説明を行った。
まず、人材関連事業については、ファクトリー事業では、売上・利益・請負ブランドNo1を目指し生産活動できる組織を構築することを目指す。テクノ事業では、採用の多様化によりニーズの幅を拡大する。R&D事業では、領域の拡大と雇用拡大を図る。リペア事業では、メーカーブランド力を確保できる技術者の育成を急ぐ。海外事業では、九州基盤でアジア進出を積極展開する。
その結果、13年売上高(国内)342億4400万円(10年比59.3%増)、13年売上高(海外)12億円(同31.6%増)、営業利益(国内)21億4200万円(同136.7%増)、営業利益(海外)4億円(同21.2%増)を見込んでいる。
■不動産価値を下げない物件の管理、維持によって他社との差別化を図る
不動産事業については、首都圏を中心とした中規模のファミリータイプマンションディベロッパーに特化する。
「人と文化が集う」まちづくりをテーマに、幅広い購買層に対して業界トップクラスの仕様と高いアフターサービスでブランドを確立。また、販売後も、管理会社を内製化して社内で管理、アフターフォローと住民のコミュニケーションを深め、不動産価値を下げない物件の管理、維持によって他社との差別化を図る方針。
「30年前から売り逃げはしていません。今でもみくに産業で販売していたところと付き合っています」(伊井田栄吉会長)とアフターフォローについて継続的に取り組んでいることを紹介した。
不動産事業の13年度の売上高は、120億7000万円、営業利益7億1000万円、年間供給戸数300戸を見込んでいる。
■グループ全体の13年度の予想売上高は562億4000万円
グループ全体の予想売上高の推移は、11年度368億5000万円(前年度比16.2%増)、12年度486億8000万円(同32.1%増)、13年度562億4000万円(同15.5%増)。
中でも、売上の主力となるファクトリー事業の売上予想の推移は、11年度169億3000万円(前年度比21.9%増)、12年度208億円(同22.9%増)、13年度227億円(同9.1%増)を見込む。
新たに加わる不動産事業の売上予想推移は、11年度25億2000万円(10年度5200万円)、12年度88億5000万円(前年度比3.51倍)、13年度120億7000万円(同36.4%増)と急成長を予想。
■不動産事業については、14年中にアジアへ進出し、16年にはアジアでの上場を目指す
グループ全体の予想営業利益は、11年度1億1900万円(前年度比57.5%減)、12年度17億6800万円(同14.85倍)、13年度24億3500万円(同37.7%増)と11年度は半減するが、12年度から急増する見込み。
11年度に半減する理由は、不動産事業の営業利益を△4億9400万円と見込んでいるため。このことに関して、「不動産事業の経費を先落としするためです」(伊井田栄吉会長)と説明。
不動産事業が加わると共に、人材派遣事業の成長も予想されることから、事業規模の急拡大が進む。特に、新規参入する不動産事業については、「2014年中にアジアへ進出し、2016年にはアジアでの上場を目指す」(伊井田栄吉会長)と公表しているように、アジアへの進出も視野に入れている。一方で金融機関に対して「計画以上は絶対に借りない」(伊井田栄吉会長)と慎重な姿勢を見せている。不動産事業の表裏を知り尽くした経営者が不動産業界に進出することで、同社の今後の成長に期待が持てる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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