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株はもとの古巣に帰る=犬丸正寛の相場格言
一時は人気を集め、大きく値上がりした銘柄も、人気が薄れると居心地のよい以前の値段に帰るので、実力以上に買われている銘柄には浮かれてついて行くのは気をつけなさいという教えです。[写真拡大]
■株はもとの古巣に帰る
一時は人気を集め、大きく値上がりした銘柄も、人気が薄れると居心地のよい以前の値段に帰るので、実力以上に買われている銘柄には浮かれてついて行くのは気をつけなさいという教えです。
たとえば、東証1部のある銘柄が、1998年頃から2002年半ば頃まで長い間、100~200円での動きに推移していました。配当は年3円程度、1株当り株主資本500円程度の内容で、配当利回りからみるとやや株価は割高水準ですが、1株当り株主資本に対し株価が何倍まで買われているかという株価純資産倍率(PBR)は0.4倍と大変低い水準にあり、総合的にみれば、この株価は100~200円が地相場、つまり寝ぐらであり古巣といえる居心地のよい水準でした。
それが、2003年にかけて突如、急騰し一気に2160円の高値をつけました。特定の株に狙いを定めて人気化させる仕手筋が介入したためですが、その当時は無配で株価純資産倍率は4倍を超えるところまで上昇し明らかに株価は割高に買われました。
もちろん、『ついた値段は正しい』という相場格言もありますので、形成された値段そのもは認めなくてはいけませんが、実力に比べどうであったかということでは、行き過ぎだったことは間違いありません。結局、その後の株価は下落の一途で、80円程度まで下がり古巣に帰りました。動物はみな自分の巣や寝る場所をもち、カラスは夕方になるとカアカア鳴いて巣に帰る意思表示さえしています。
東京・丸の内が三菱村と呼ばれたり、あるいは玩具の商売をする会社などは浅草あたりが居心地のよいどころであり企業にも古巣と呼ばれるような場所があります。田舎から都会に出てきて活躍している人にとっては都会が古巣になっているでしょうが、やはり、年取ったら生まれ故郷に帰りたいという気持ちはあります。
企業、個人も今や世界を舞台に活躍する時代ですが、活躍すればするほど古巣が恋しいものではないでしょうか。古巣は言葉を変えれば、企業、個人にとって得意とする分野という響きもあります。国家も企業も個人も今、得意とする古巣を見詰め直そうとするところに来ているのかもしれません。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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