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金本位制議論高まれば「ジパング相場」を期待!金関連定番株マーク=浅妻昭治
------------------- 「いよいよ日経平均は1万円台回復」と威勢のいい掛け声が、方々で飛ぶ交うようになった途端に上値が重くなった。なかなか一筋縄ではいかない相場である。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
「いよいよ日経平均は1万円台回復」と威勢のいい掛け声が、方々で飛ぶ交うようになった途端に上値が重くなった。なかなか一筋縄ではいかない相場である。1ドル=83円台への円安も、11月のヘッジファンドの決算が終了すると、再び円高に逆戻りすると観測しきりであり、欧州でも再び、アイルランドやポルトガルなどの財政危機再燃が懸念され出した。「100年に1度の津波」の金融危機の呪縛になお捉えられている危うさに思いを致さざるえない。
この金融危機の関連で突然、80年前、40年前にタイムスリップしたような既視感に捉えられたのは、11月8日に伝えられた世界銀行のゼーリック総裁が提唱した新通貨協調制度を目にしたときである。「将来の通貨価値に関する市場の見方を示す参考指標として金を使用する」と呼びかけたというのである。いわゆる「金本位制」である。
市場関係者のなかには、さすがに80年前の「金解禁」の現場に立ち合った経験者は皆無だろうが、40年前の「ニクソン・ショック」では、あのドラスティックさに驚愕した当事者はなお少なくないはずである。「ニクソン・ショック」で「金本位制」の崩壊を目の当たりにし、それがその後の円切り上げ、変動相場制、ビッグバン、資産バブルの発生・崩壊、さらには現在の「失われた20年」などにまで連綿とつながっていることを骨身にしみて感じ取っているからだ。
米国が、金兌換を停止して戦後経済のバックボーンとなったブレトン・ウッズ体制が崩れて、そこから変動相場制に移行して、基軸通貨としてのドルの延命を図ってきた。それが「100年に1度の津波」に追い討ちされ、いまやそのドルの命脈が尽きようとしていることが、ゼーリック総裁の「金本位制」の提唱を誘引したことは容易に想像がつく。
しかし「金本位制」に先祖返りするとして、この新たな通貨制度は、各国に強度の緊縮財政も強要することにもなる。金に裏打ちされた範囲内に通貨の発行量が制限されることになり、現在の米国ようにジャブジャブと過剰流動性を供給することなど不可能となる。それでも過剰流動性を確保しようとすれば、金価格を現在の1トロイオンス=1300-1400ドルどころか、100倍にも1000倍、1万倍にも、天文学的に上昇させなければならない計算になる。現に80年前の日本の「金解禁」では、金兌換を旧平価で再開するか平価を切り下げて再開するかで国論を分けた大激論となり、結局、旧平価で実施して「昭和恐慌」を悪化させた前例が教科書に載っている。
「金本位制」の議論が高まり、賛否両論ながら通貨市場で市民権を持つようなら、マルコ・ポーロがいった「黄金の国ジパング」で「ジパング相場」が加速する展開も有力となる。金関連の最右翼銘柄の住友金属鉱山 <5713> を筆頭に三井金属 <5706> 、三菱マテリアル <5711> 、DOWAホールディングス <5714> 、アサヒホールディングス <5857> 、松田産業 <7456> などの定番株をマークしておくことも十分に採算が成り立つことになる。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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