NY市場の動きを見ながら『国内政局を注視する展開』=犬丸正寛の相場展望

2010年11月5日 17:08

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

アメリカは2つの大きいイベントが終わった。中間選挙では与党・民主党が大敗した。金融政策決定会議では約49兆円の国債を買い入れることによる金融緩和政策を続行する。果たして、どこまで効果が出るか。NYダウがどこまで、その金融緩和政策に応えることができるか。

アメリカは2つの大きいイベントが終わった。中間選挙では与党・民主党が大敗した。金融政策決定会議では約49兆円の国債を買い入れることによる金融緩和政策を続行する。果たして、どこまで効果が出るか。NYダウがどこまで、その金融緩和政策に応えることができるか。[写真拡大]

■政府は尖閣列島衝突のビデオ流出などで「遺憾」を連発

 来週(8~12日)からの相場は、NY市場の動きを見ながら『国内政局を注視する展開』だろう。

  アメリカは2つの大きいイベントが終わった。中間選挙では与党・民主党が大敗した。金融政策決定会議では約49兆円の国債を買い入れることによる金融緩和政策を続行する。果たして、どこまで効果が出るか。NYダウがどこまで、その金融緩和政策に応えることができるか。アメリカの経済動向、マーケット動向は注視が必要だ。

  オバマ政権誕生2年。「変革」が期待された政権だった。しかし、一番の支持層だった若年層からそっぽを向かれた。一向に高い失業率が改善されない不満が強い。

 とくに、オバマ民主党も日本の民主党も、「世界は仲良く協調」を、掲げている。しかし、優しくと言っている隙間を突かれ、アメリカは中国の台頭を許し、結局、対人民・元に対し決め手に欠けた。中国は輸出で稼ぎ、アメリカ労働者の就業機会を奪ったとの不満がアメリカ国内でくすぶる。日本も領土問題で中国とロシアに得点を与えてしまった。

  「平和協調主義」は理想であり立派なこと。誰もがそうでありたいと願う。しかし、世界は争いの歴史である。基本は「力」である。ガキのころと全く変わらない。ガキのころと違うのは、大人になれば、力をベースにニコニコとネクタイを締めて握手する社交術が備わることだ。今の日本は、なんでもすぐに丸く治めようとする雰囲気が強い。これから、アメリカも日本も「強い国家」を求める空気が高まってくるとみておく必要がある。その流れの中で、ドル安がどこまで続くか。ある日、突然、流れが変わる可能性がある。

■NYダウも波乱の芽を含んでいることは忘れてはならない

  アメリカの景気対策は、金利を下げる余地がないから量的緩和しかないのだろう。これは、親が子供に小遣いを大量に与えるのと似ている。使い方を知らないから子供はロクなことをしない。却って、子供を不良に走らせ、事態を悪くする心配がある。量的緩和によって、株高による「資産効果」が狙いなのだろう。狙いは分かるが、マーケットがどこまで応えることができるか。かえって、所得格差が拡大して不満がいっそう高まることも予想される。NYダウの1万2000ドル前後が意見の別れ道となることが予想される。

  日本では政府の外交力の弱さだけでなく、内部統制の甘さが露呈している。尖閣列島衝突のビデオが流出してしまった。政府は、あっちにもこっちにも「遺憾」を連発。そんなことでは、どうにも「イカン」となってしまいそうだ。

  ロシア大統領からは、アジア会議への招待状をいただきありがとう。喜んで参加しますと、完全にバカにされている。しばらくは、日中、日ロ関係はおとなしくなるだろう。しかし、戦後65年を平和に過ごしてきた日本に波乱の第1幕が上がったとみておくべきだ。国会は荒れそうだ。NYダウも波乱の芽を含んでいることは忘れてはいけない。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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