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「01銘柄」の業績動向を検証するのも一考余地=浅妻昭治
「栄枯盛衰」、「盛者必衰」は世の常だが、その歴史の厳しい現実を思い出させてくれたのが、先に発表されたドイツのフォルクスワーゲン(VW)の今年1~9月期の好決算である。税引後利益が、前年同期の6.2倍にもなったという。好決算のどこに場違いな無常観を刺激されたのかといえば、その好決算の解説記事にある。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
「栄枯盛衰」、「盛者必衰」は世の常だが、その歴史の厳しい現実を思い出させてくれたのが、先に発表されたドイツのフォルクスワーゲン(VW)の今年1~9月期の好決算である。税引後利益が、前年同期の6.2倍にもなったという。好決算のどこに場違いな無常観を刺激されたのかといえば、その好決算の解説記事にある。
解説記事によれば、VWの好決算は、ユーロ安を引き金にして輸出が急増していることを要因としており、ドイツ経済は、まるで1990年の東西ドイツ統一直後と同様のブーム状態にあるとの政府担当者のコメントを伝えていたからだ。1990年といえば、わが東京市場では日経平均株価が、前年12月29日に史上最高値3万8915円をつけた翌年で、まだ日本全体が資産バブルの余韻に酔いしれていたときである。
当時は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は世界の常識で、「債権大国相場」、「国力相場」の勢いはとどまることを知らず、日経平均の「5万円説」などの見出しが、新春の証券情報誌、証券業界紙はいうに及ばず、一般紙の紙面にまで踊った。そしてその強気相場見通しの根拠の一つに、前年11月9日の「ベルリンの壁崩壊」をキッカケにした東西冷戦の終結、東欧革命を先取する「平和の配当」需要への期待感が盛り込まれていた。
現在では、当時の世界を席巻した圧倒的な「ジャパンマネー」が、実は単なるバブルマネーでしか過ぎなかったことは明らかとなっており、この後遺症が「失われた10年」、「失われた20年」と連綿として続き、社会全般の閉塞感を強めている。この閉塞状況を打破するビジネスモデルは、「選択と集中」とされた。不採算的部門から撤退して、成長部門に経営資源を集中することが、業績と株価を押し上げた。以来20年、このビジネスモデルが、なお賞味期限をキープしているのか見直してみる必要がある。
この関連で注目されるのが、「01銘柄」の出直りである。「01銘柄」とは、コード番号の末尾2ケタが「01」で構成されている業界の代表株である。前週末22日も、「01銘柄」の日立製作所 <6501> は、今3月期第2四半期累計業績の上ぶれが観測報道され、東芝 <6502> は、自ら2Q業績を上方修正したが、株価反応度も売買高も、日立が東芝に差をつけた。2Qの営業利益が、日立は2000億円超の黒字(前年同期は247億6000万円の赤字)と東芝の1040億円(同26億8800万円の黒字)のほぼ倍増となり、「選択と集中」の東芝より「総合力」の日立を評価したとマーケットコメントされた。
前週末に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を終わり、円高の潮目が変るのか、政府・日銀の円売り単独介入の再開があるのかにもよるが、日立と東芝をモデルケースに「01銘柄」に見直し買いが強まる展開も想定される。大成建設 <1801> 、日本製粉 <2001> 、横浜ゴム <5101> 、古河電気工業 <5801> 、NEC <6701> 、東武鉄道 <9001> 、日本郵船 <9101> などが、株価存在感を高めることになるかもしれない。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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