旭化成せんい・「ベンベルグ」 下期も10%増を計画

2010年10月19日 09:42

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記事提供元:日本繊維新聞

 旭化成せんい・ベンベルグ営業部は10年度下期、円高に伴う輸出の苦戦に懸念を強めているものの、インナー向け、アウター向けの販売をともに伸ばす。また、中国内需に食い込んでいくための取り組みを重視しており、とくに春夏アイテムでのユーザー開拓を強化したい考えだ。

 旭化成せんい・ベンベルグ営業部は裏地以外の用途をおもに糸売りでカバーしており、10年度上期はインナー、アウターで前年増を確保。トータルで「10%前後の増販を達成した」(近野哲ベンベルグ営業部長)という。

 下期は織物輸出を展開する産地コンバーター向け糸売りの減少に懸念を強めているものの、下期も10%増を計画。インナー、アウターを強化するとともに、手つかずだったスポーツの開拓にも意欲を示している。

 インナーでは、ほとんどを春夏アイテムに依存していた「ベンベルグ」長繊維を秋冬にも広げていくために開発した新しい複合糸「ウォーフィル」に期待を寄せる。

 ナイロン混の「同NY」、マイクロポリエステル混の「同MC」で「冷え込む直前から暖かくなるまでをカバーする」(近野営業部長)基幹素材への育成を目指す。

 一方、中国では吸湿発熱素材「サーモギア」を秋冬肌着のゾーンに展開しており、これまでは春夏が手薄だった。

 このため、春夏の肌着をターゲットに長繊維による企画提案を強化しており、コンバーターと連携する製品OEM(相手先ブランド生産)ビジネスを早ければ11年春夏から立ち上げたい考えだ。

 10年度も上海で行われたインナー・肌着の展示会「2010中国国際針織博覧会」に出展。日系商社やコンバーターを同席させ、現地生産できる素材群を重点的にプロモートしたという。

 一方、アウターではプルミエール・ヴィジョン出展を通じ開拓してきたEU域での拡販を計画。国内販売では前年実績の維持を目指している。

 コンバーターとの共同開発を通じトレンドの変遷に対応できる「幅広い商品ラインの構築が進みつつある」(同)と見ており当面、ヤング・カジュアルゾーン向けを伸ばすためニットでの取り組みを強化したい考えだ。

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