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関西の空買い、関東の空売り=犬丸正寛の相場格言
関西はどちらかというと、「変化率」を重視し、関東の投資家は理論による「格」を重んじる違いがあります。こうした東西の風土の違いを巧みに操ったやり方です。現在でもビジネスの世界では、「関西の感性、関東の理論」の違いがあるようです。[写真拡大]
関西の空買い、関東の空売り
「空」(から)とは現物の売買ではなく、信用取引による売り買いです。信用による買いはお金を借りて株を購入。信用の売りは株券を借りて売ることです。当然、お金であれ、株券であれ借りたものは返さなくてはいけません。
関西の投資家は信用買いが好きで、空売りはしないということではありません。信用の買いも売りもやります。関東の投資家もまた同様です。ただ、ここでいう言葉の意味するところは、ある特定の銘柄に、信用の買いと売りががっぷりと組み合って、昔でいう「仕手相場」(してそうば)となった時のことです。具体的な例で紹介するのが分かりやすいでしょう。昭和40年代の証券界は、空売りを誘って大相場に仕立てる動きが活発でした。中山製鋼所、三光汽船、グリコ、オーミケンシ、日東紡績など多くの銘柄が大きく値上がりしました。空売りしたものの、株券を調達することができず、返すことができなくなり自殺者も出たほどです。
仕手株の場合、決まって仕掛けるのは北浜の相場巧者達です。現物買いのほか、信用取引を使って強引に買います。ある水準まで株価が上がってくると、「こんな株価のつくことはおかしい」と異を唱え始めるのは、名古屋とか関東の投資家です。「どう考えても理屈に合わない。そんな実力のある銘柄ではない」と、空売りをかけることになります。それを待ち構えて、関西の仕手筋がさらに買い上がるのです。結果は、ほとんどが、空売りの敗退でした。
当時の北浜で、仕手株候補に選ばれる銘柄は、発行株数が中小型。しかも、ある程度知名度があり、利益水準は低いが業績の上向く期待の強い、いわゆる「利益変化率」の高い銘柄です。しかも、そこには、もう一つの大切な要素がありました。「株価がある程度上がってくると、東の投資家が割高との理由で必ず空売りしてくるだろう」という読みです。関西はどちらかというと、「変化率」を重視し、関東の投資家は理論による「格」を重んじる違いがあります。こうした東西の風土の違いを巧みに操ったやり方です。現在でもビジネスの世界では、「関西の感性、関東の理論」の違いがあるようです。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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