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新NISAに債券は必要か 老後資産を削る「順番リスク」とは
新NISAの投資先は、いまや米国株や全世界株が中心だ。値上がりを狙う株式型に資金が集まり、債券を持つ人は少ない。
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だが「増やす局面」と「取り崩す局面」では、同じ値動きでも意味が変わる。2027年につみたて投資枠へ債券を組み入れた投信が加わるのを前に、退職世代に債券が要るのかを考えたい。
■「株式100%」の死角 収益率配列リスクとは
株式インデックスを長く積み立てる手法が定着した。増やす局面では、下落も安く買える機会になり、株式100%は合理的とされてきた。
だがこの前提は「積み立てて増やす人」のものだ。退職金をそのまま株式型に移し、増やす発想のままでいると、取り崩す段階で落とし穴にはまる。
積み立て期は暴落でも口数を多く買えるため、後の回復が味方する。だが取り崩し期は逆だ。資産を売りながら暮らすため、早い段階の暴落が痛い。値下がりした資産を取り崩すと口数が大きく減り、相場が戻っても元に戻りにくい。
これが「収益率配列リスク」だ。暴落が「先」か「後」かで結果が変わる。
■同じ平均リターンでも資産寿命が変わる
退職時に2,000万円を持ち、毎年100万円を取り崩す二人を考える。
Aさんは退職の翌年に相場が2割下がり、Bさんは数年増えた後に同じ下落を10年後に迎えた。相場の中身は同じで、違うのは順番だけだ。それでも結果は大きく変わる。
Aさんの2,000万円は、2割下げて1,600万円に減る。そこへ毎年100万円の取り崩しが重なる。減った元手から引き出すため、相場が戻る前に資産が削れていく。元の2,000万円に戻すには25%の上昇が必要だが、その前に目減りが進む。
一方Bさんは、先に資産が2,400万円ほどに増えてから2割下げる。それでも1,900万円台が残り、取り崩しの土台は厚いままだ。同じ100万円を引いても、資産はAさんより何年も長くもつ。
取り崩し期には、平均リターンより「いつ下げるか」が効く。「平均が同じなら結果も同じ」とはいかない。
■2027年の債券解禁 退職世代はどう備えるか
2027年からつみたて投資枠の対象が広がる。「主に株式に投資する投信」に加え、「主に株式又は公社債に投資する投信」が認められ、債券を組み入れたバランス型などを非課税枠で選べる。
退職世代には、株式のクッションを非課税で持てる意味は小さくない。ただし制度は選択肢を増やすだけだ。
考え方は二つ。2027年の解禁を待つか、今ある手段で守りを固めるかだ。例えば毎年300万円を使うなら、2〜3年分の600万〜900万円を債券や預貯金など値動きの小さい資産で持つ。
個人向け国債の変動10年は、2026年6月募集分で年1.74%、元本割れもない。こうすれば暴落時も株を売らずにしのげる。
債券が要るかは年齢では決まらない。年金で生活費がまかなえ運用が余裕資金なら、無理に守りは要らない。だが資産を取り崩して暮らすなら、暴落の順番に備える意味は大きい。増やす投資から守る投資へ、物差しを持ち替える時だ。(記事:中村葵・記事一覧を見る)
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