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相場展望4月25日 過剰マネー相場終焉の第1歩となるか?注目 好調な株価で楽観的流れ⇒一転、悲観的
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)4/21、NYダウ▲368ドル安、34,792ドル(日経新聞より抜粋)
・長期金利上昇と金融引締めを警戒しNYダウは反落、ナスダックも大幅安の展開。
・好決算銘柄が買われ一時+330ドルと高く始まり、ユナイテッド航空など空運・化学のダウなどの上昇が目立った。
・FRBパウエル議長が「5月FOMCで通常の2倍の+0.5%の利上げ検討」、「もう少し
速いペースで動くことが適切だ」と発言し、米長期金利が2.9%に上昇したのを受け
金融引締めの警戒感の強まりからNYダウは伸び悩み、一時▲436ドルまで下げた。
【こちらも】相場展望4月21日号 5月格言「セル・イン・メイ」、決算イベントで資金化 FRBのQT、悪い円安の織込みは、これから
2)4/22、NYダウ▲981ドル安、33,811ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦制度理事会(FRB)の積極的な金融引締めが景気を冷やすとの懸念が改めて強まり、幅広い銘柄が売られ、取引終了間際に一時▲1,000ドルを超える下落をした。決算発表を受けて一部銘柄が売られたのも、相場の重荷になった。
・今週前半に戻り高が目立った景気敏感株・消費関連株が売られ、建機のキャタピラー▲7%安、スポーツ用品のナイキ▲5%安、金融のゴールドマンサックス▲4%下げた。
●2.米国株:好調な株価要因が悪材料のインフレを上回り楽観的な流れ⇒一転、悲観的流れ
1)好調な株価の要因
(1)雇用の拡大
(2)賃金の上昇
(3)1~3月期企業決算の好調
2)悪材料
(1)インフレ
(2)FRBの金融引締め(利上げ、QT(量的緩和の縮小))
(3)ロシア侵略が引き起こした世界経済成長後退
3)見通し:過剰マネー相場の終焉で痛みを伴う第1歩となるか?
(1)インフレは長期化
・エネルギー価格の高止まり
・賃金の上昇
・家賃の高騰
(2)米金利は急上昇
・FF金利は短期間(2年)に、0⇒3~4%上昇を予測
(3)余剰マネーの急収縮・FRB資産8兆9,000億ドルが950億ドルペースで縮小?
⇒資産拡大スタート時点の5兆ドル割れまで収縮か?
(4)FRBは上にも下にも行き過ぎる習性を持つ(先を予測して適度で止まれない体質)
・指標が出てからゆっくり判断するため、打つ手が遅れ、火傷
・指標の先行きを読もうとしない、責任回避の官僚的発想
(5)景気後退の足音
・米長短金利差が再び縮小(4/18 0.405%⇒4/22 0.227%)
・資源大国ブラジルのボベスパ株指数が4/18比▲3.98%下落
世界景気後退を読んだリスク対応か?注目
●3.ECB総裁、ウクライナ戦争が重く、ユーロ圏の経済成長見通し下方修正の必要も(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)4/21、上海総合▲71安、3,079(亜州リサーチより抜粋)
・前日までの軟調な地合を継ぐ流れとなり、5日続落となった。
・中国人民銀行(中央銀行)の金融政策が失望、中国景気の先行き不安もくすぶった。
・野村の最新レポートで、中国の今年4~6月期の国内総生産(GDP)成長率見通しを3.4⇒1.8%に▲1.6%下方修正し、国際通貨基金(IMF)も引下げた。「ゼロコロナ」政策が景気の下押しにつながると分析した。上海市の新型コロナ感染重傷者が4/20に159人と前日比3倍に増え不安視された。
・業種別では、消費関連の下落が目立ち、不動産・素材・ハイテ・医薬品が売られた。
2)4/22、上海総合+7高、3,086(亜州リサーチより抜粋)
・自律反発狙いの買いが相場を支える流れとなった。
・最近の上海総合は下落基調を強め、年初来安値に接近し、値頃感が着目された。
・中国人民銀行の易総裁が4/22、新型コロナ渦で打撃を受けたセクターへの支援を重視すると述べたことも好感された。習近平・国家主席が4/21に「ゼロコロナ」政策の重要性を改めて強調し、行動規制の長期化によって景気が冷え込むと警戒され、買い進む動きは限定された。
・業種別では、金融・エネルギーが相場を主導し、不動産もしっかり、公益が上げた。反面、ハイテクは安く、医薬品・消費関連・非鉄・防衛関連が売られた。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)4/21、日経平均+335円高、27,553円(日経新聞より抜粋)
・米長期金利の上昇に一服感が出てきたことに加え、米株先物が堅調に推移したことで、投資家心理が改善し、東エレク・レーザーテク・アドテストなどの値嵩ハイテク株を中心に、精密機械・電気機器・機械も買われ、上げ幅が一時+360円を超え、約2週間ぶりの高値となった。
2)4/22、日経平均▲447円安、27,105円(日経新聞より抜粋)
・前日まで上昇が続き利益確定売りが出やすかった。また前日の米株式市場が下落した流れを受け、東京市場は成長株を中心に運用リスク回避の売り優勢となり、下げ幅は一時▲600円を超えた。
・後場に入ると、週末をにらみ売りが一服、売り方の買い戻しも入り下げ幅が縮小した。
・ファストリ・東エレク・ソフトバンクGの下げが目立ち、塩野義・東芝が買われた。
●2.日本株:日本株が抱える悪材料に注意
1)「悪い円安」が続く
・日米金利差はますます拡大 ⇒ 円は130円超え?
・輸入物価急騰を後押しする円安
・交易条件悪化で貿易収支の赤字定着
・日本のコスト急騰で、企業業績・家計の悪化
・政府・日銀は「悪い円安」対策は何一つ打っていない不思議
これでは、円の売り筋は安心して円売りを加速できる
2)外資系買残の減少
・外資系先物買残高は歴史的に最小残高となり、先行き動向に注目
2021年2/25 283,641枚買残
2022年3/25 150,848枚買残
4/15 82,823枚買残
4/22 83,101枚買残
・外資系の先物買残減少で考えられる理由
・外資系の買い余力を示す⇒日本株買いの推進力
・日本株投資の魅力の減退を示す⇒日本株売り
・米FRB・欧ECBのQTに備えて買いポジションの縮小
3)米株市場乱高下の影響
・米株式市場からみた、米FRBから市場への資金供給変化
2021年3月資金流入開始
⇒2022年3月資金供給停止
⇒2022年5月QT(量的引締めで資金回収開始)?
⇒NYダウ乱高下の要因
・SP500株価指数は、3/29の4,631ピークから4/22の4,271に急落し、直近底値3/8の4,170に接近している。
・日経平均は米SP500と比べると下落余地があり、警戒。
●3.パーム油大国のインドネシアが食用油の輸出禁止、価格高騰の恐れ(朝日新聞)
●4.企業動向
1)日立 4割出資する日立物流株の3割を米投資ファンドKKRに売却(時事通信)
KKRはTOB(公開買付け)で買増し、非上場化して企業価値向上を目指す
2)日本電産 永守会長がCEOに復帰(日経新聞)
3)エーザイ 米バイオジェンとのアルツハイマー薬、欧州での承認申請取下げ(朝日新聞)
●5.企業業績
1)ANA 22年3月期営業利益▲1,250⇒▲1,750億円下方修正、旅客減・燃料高(読売新聞)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・2871 ニチレイ 業績堅調。
・6367 ダイキン 業績好調、エアコン夏需要期。
・9503 関西電力 原油高で原子力発電効果を期待。
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