相場展望12月2日号 米国株: 米国株高は、12月上旬までか? トランプ関税大幅引上げの負の要因に着目する動きに注意 日本株: トランプ追加関税・円高で輸出関連株が下落し、日本株に暗雲

2024年12月2日 12:55

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)11/28、「感謝祭」で祝日のため休場
 2)11/29、NYダウ+188ドル高、44,910ドル

【前回は】相場展望11月28日号 米国株: 財務長官指名を好感し株高、過熱感あるも12月半ばまで底堅いと予想 日本株: トランプ追加関税の影響と円高で、輸出・半導体関連株に逆風

●2.米国株:株高は12月上旬までと予想 トランプ氏の関税引上げの負に視点が向かうと、米国株は逆風

 1)金利低下と半導体株高・減税・規制緩和が追い風となって米国主要株指数は上昇
  ・株価上昇要因
   ・金利低下
   ・半導体株高
   ・減税
   ・規制緩和

 2)米国株高の期限は12月上旬と予想
  ・例年の季節要因として、税金対策として損切りの売りが12月中旬以降から強まる傾向があるため。
  ・次期大統領の期待フィーバーもそろそろ終了し、現実に眼が向き始める可能性。

 3)トランプ氏の関税引上げの負に視点が向かうと、米国株は逆風
  ・関税引上げで、輸入品目の価格に価格転嫁が起こり、物価上昇は不可避。
  ・関税引上げは庶民の生活を直撃し、消費支出意欲が減退し、米国国内総生産はマイナスの効果を及ぼす。
  ・つまり、米国国内企業が享受してきた安い輸入品を米国製造業が代替できない。このため、米国製造業でコスト高と部品不足が発生し、倒産する企業が増大リスクがある。

●3.トランプ氏、今度はBRICSに「脱ドル推進なら100%関税」宣言(朝日新聞)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)11/28、上海総合▲14安、3,295
 2)11/29、上海総合+30高、3,326

●2.中国11 月製造業PMIが50.3と、前月の50.1を上回った(ブルームバーグ)

 1)非製造業PMIは50.0と、市場予想の50.3と前月の50.2から下回った。
 2)トランプ次期大統領による追加関税と、今後の政府による財政出動の不確実性を考慮すると、先行きがまだ見通せない、との指摘がある。

●3.中国、土地売れず、消えた錬金術、地方財政が困窮し公共サービス停止も(共同通信)

●4.中国・最高軍指導者が異例の2名欠員、習氏側近に「規律違反」、権力闘争激化か(時事通信)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)11/28、日経平均+214円高、38,349円
 2)11/29、日経平均▲141円安、38,208円

●2.日本株:トランプ追加関税・円高で輸出関連株が下落し、日本株に暗雲

 1)トランプ次期大統領による輸入関税引上げを警戒し、日本株は重苦しい展開続く
  ・米国株式市場は日本株式市場と対照的に史上最高値を更新。
  ・米国株高に付いていけない日本株は関税引上げと金利高観測で低調な動き。

 2)円相場は1ドル=149円台と円高となり、輸出関連株は下落
  ・日米金利差が縮小し、円高へと進展
    日米金利差の推移   11/18 ⇒ 11/29   金利低下幅
      日本10年債利回り 1.070%  1.042   ▲0.028%
      米国10年債利回り 4.414   4.169   ▲0.245
       日米金利差   3.344   3.127   ▲0.217

 3)内需関連株、中小型株が買い直される展開
  ・円安が一服し、円高基調に転換し、輸出関連株などから転換の動きが続く。

 4)日経平均は7/11高値を抜けず、低迷
  ・日経平均の推移
     07/11  42,224円
     08/05      31,458
     10/15   39,910
     11/29    38,208   
  ・米国NYダウなど主要3株価指数の上昇から取り残される状況が続いている。

 5)38,000円は岩盤で、近辺まで下がると買いが入る展開が12月半ばまで続くと予想
  ・ただし、上値は39,000円台後半の見込み。
  ・上昇幅は自律反発の範囲内とみる。
    その理由は、
     ・トランプ氏の10%関税引上げ対象国であり、その動向を見極めるため。
     ・日銀の金利引上げ観測が浮上し、相対的な株高意識があるため。
     ・39,000円付近で、短期海外筋の買いが見込まれる。
     ・3月期決算の中間配当資金での再投資期待がある。

●3.トヨタ、10月世界販売+1.4%高で最高、世界生産は9カ月連続で前年割れ(ロイター)

 1)中国販売は引き続き価格競争の激化で▲0.4%減だったが、減少率は9月の▲9.2%減から改善した。新型車や販売促進策が奏功し、回復しつつある。インドは+42%伸び、中南米や欧州での販売も堅調だった。

●4.日産自、ムーディーズは格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に(ブルームバーグ)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4107 ウッドワン   黒字転換。
 ・9508 九州電力    業績回復期待。
 ・9843 ニトリ     円高による業績向上期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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