インジェクションになってもキック始動にこだわるSR400

2013年12月14日 19:31

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記事提供元:エコノミックニュース

今回新たに追加となったカラーの「ダークグレーイッシュレッドメタリック3」

今回新たに追加となったカラーの「ダークグレーイッシュレッドメタリック3」[写真拡大]

 初代SR400は1978年に誕生し、今年で35周年を向かえる。SRは、ヤマハ発動機<7272>が現在販売しているモデルのなかで一番歴史のあるバイクだ。

 この歴史のあるSRだが、驚くことに35年間フルモデルチェンジはしていない。一時期は油圧式ディスクブレーキをドラム式ブレーキにするなど、時代に逆行する仕様変更をしたり、スポークホイールをアルミキャストホイールに変更したりした。どちらにしても結局、初代の仕様に戻されている。

 そんな誕生したままの姿を継承し続けたSRだが、どうしても変えなくてはならない局面に立たされたことがあった。それは自動車排出ガス規制だ。これをクリア出来ずに多くのモデルが生産中止に追い込まれ、その中にSRも含まれた。そもそもキャブレター車として設計されているものを、FI化するのは簡単なことではない。しかもSRの場合は、変更は極力せずに、SRならではのテイストはできたら現状のままでという思いが強かったからなおさらのこと。開発者が試行錯誤を繰り返し、細かい部分を仕様変更することで、ついに2010年にFI(フューエルインジェクション)を搭載したモデルとして復活を遂げるにいたる。それでもキック始動は変わらずに残された。

 FI化されたおかげで、チョークノブやスロットル操作など、以前のように始動にコツを必要としなくなった。キック始動にこだわっているのは、バイクに乗る前のいわば“目覚めの儀式”でもあるからだ。それだけに、便利なセルフ始動を導入せず、キック始動のままなのだ。現在販売されているこのクラスのバイクでは、おそらくキック始動なのはSRくらいだろう。

 今回発売となる2014年モデルは、タンクなどのグラフィックを変更して、新色の「ダークグレーイッシュレッドメタリック3」を追加し、「ヤマハブラック」「ニューパールホワイト」と合わせて全3色を用意している。他にタンクとリアカウルへのループストライプの採用、ブラック文字盤メーターパネル、「SR Since1978」の金属調エンブレムのサイドカバーなどの仕様変更を行なっている。本体価格は前モデルより値下げされて51万円。発売日は2014年1月20日で、年間の販売計画は1300台を予定している。

 SRに乗ったことがある人は、あの単車と呼ぶにふさわしい鼓動感に驚いたはずだ。SRのエンジンはフレームにリジッドマウントされていて、振動がそのままライダーに伝わるようにあえて設計されているのだ。ビッグシングルの“トコトコ感”と呼ばれる粘り強いトルクで、地面を蹴りながら加速していく。そんな武骨なところがなんともSRらしい。FI化するときの開発テーマは「SRであり続けること」。その言葉通り、SRはこれまでのスタイリングにおける普遍性を、これからも代々継承し続けるのだろう。(編集担当:鈴木博之)

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