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紙おむつ製造機国内シェア9割、海外でも大手3社の一角:瑞光は「曲がり角」を脱しえるか
瑞光(6279、東証プライム)。幼児用・大人用紙パンツ/おむつ、生理用品の製造機で90%のシェアを持つ最大手、海外でも大手3社の一角を占めている。1946年に生理用ナプキン製造加工機メーカーとして立ち上がり、紙おむつ分野にも事業領域を広げその存在感を高めてきた経緯がある。
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そんな瑞光が曲がり角を迎えている。2021年2月期から前24年2月期までの売上・営業収益動向は「16.4%減収、22.1%営業減益/2.1%増収、13.4%営業増益/12.4%増収、16.0%営業減益/18%減収、43%営業減益」。業界シェア断トツの様相が見て取れない。
そして今2月期も「10.4%増収(240億円)、63.5%営業増益(16億8000万円)」計画で立ち上がるも、第2四半期の実績は「前年同期比15.6%減収、1億7900万円の営業損失」。
曲がり角とされる最大の要因は、少子化の進捗に伴う乳幼児用紙おむつの需要減に求められる。厚労省の「2023年の人口動態統計速報」では、23年に生まれた赤ちゃんは79万8631人と前年比5.1%減。
信頼度の高い民間調査機関によると日本の紙おむつ市場は22年度で、幼児用は前年度比0.4%増(約1441億円)とほぼ横ばいだったのに対し「大人用紙おむつは4.2%増(1150億円)」と増加したとしている。そして「団塊の世代が後期高齢者となる状況から、絶対値での逆転も否定できない」と見通している。
瑞光の今後はどんな方向が考えうるか。方向を見定める上で、象徴的な出来事が見られた。
今年2月にイタリアの生理用品機メーカー:Delta社を傘下に収めた。
瑞光では「当社グループの半分以上を構成している日本及び中国は人口減少の局面を迎えており、長期的には紙おむつや生理用ナプキンの消費量が減少するリスクがある。瑞光グループでは持続的な成長に向けて、欧州やインド、アフリカなどこれまで売上構成比率が高くなかった地域での売上拡大に積極的に取り組む方針」とした。
ちなみにDelta社は2002年設立で、これまで欧州や米国・南米・アフリカなどに販売実績を積み上げてきている。
瑞光も海外販売も手掛けてきたが、大方は東南アジア(タイ・インドネシア・インド)。国際展開の強化は、1分1秒の遅れをとることは許されない状況といえる。紙おむつメーカーの1社:王子HDでは、「子供用紙おむつは成長が見込める海外にウエイトを移す」方向を明らかにしている。
転換期であることは、株価動向も示している。過去10年近くの修正済み株価パフォー間数は0%水準である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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