プラント解体業:稀有なベステラの足元の収益動向を確認してみた

2025年1月3日 11:26

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 ベステラ(1433、東証プライム市場)。プラント(製鉄所・発電所・石油化学等の)解体工事のマネジメントを手掛けている。久方ぶりに同社の足元を覗いて見ようと思ったキッカケはバスで目に入った地元(埼玉県)の解体業者の広告だった。「心をこめて解体します」。妙に惹かれた。

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 ベステラも特許工法を幾多開発、「プラント解体業と真摯に優しく向き合ってきた」という認識が強い。代表的特許工法に『リンゴ皮むき工法』(2004年7月)がある。

 従来はガスタンクや石油タンクなど球形貯槽の解体は、仮足場を組み切り出した外装鋼板を一つ一つクレーンで吊り下げていた。対して特許工法は円筒物貯槽の地面から天井部までに支持装置棒をあらかじめ設置し、支持装置棒を加工させながら天井部を下降させ解体する。そう「リンゴの皮をむく」ようにだ。従業員の落下の危険を減らし、作業工程を大幅に短縮する。従事する担当者に優しい。

 また詳細はベステラのHPに譲るが、環境に優しい特許工法も幾多開発している。

 収益動向をチェックした。前2024年1月期は「72.1%増収、2億4600万円の営業黒字転換」、そして今25年1月期は「17%の増収(110億円)、2倍余の営業利益(5億円)」計画で立ち上がり9月5日に、業態から下期型だが中間期を上方修正した。「前年同期比73%増収(57億5600万円)、2億1100万円の営業黒字」。が第3四半期の実績を確認し、いささか頭を捻った。

 売上高:80億6400万円はよし、が営業利益は1億3200万円に減少していた。「だめもと」で12月27日の時点で、「事情の説明を」と問い合わせた。IR担当者が即応してくれた。以下のような説明をしてくれた。

 「構図的には前24年1月期と同様。第1四半期・2四半期は過去最高水準の売上高を達成した。が営業利益は大型工事が追加交渉中という影響、連結子会社の業績低下で発表通りにとどまった」

 「しかし通期計画を変えていないのは、追加交渉中の成果が第4四半期に発現してくるという見通しからだ。前期も第3四半期を大幅に上回る営業利益(2億4600万円)を計上している」

 「取引先企業の大方は3月期決算。対して当社は1月期。追加交渉の成果が後ずれしてくるのは、ある意味で宿命的。年度によっては成果が翌年度の第1四半期に、というケースもある」

<1月期から3月期決算への変更も一法ではないか>と箴言しようと考えたが、呑み込んだ。

 プラント解体業という稀有な存在である。が経済状況の変化が収益に与える影響も否定できない。しかし株価動向はベステラとの付き合い方を教えてくれている、と捉えられる。

 時価は高値ゾーンの1000円トビ台、予想税引き後配当利回り1.5%余。押し目待ちで好配当利回りを享受しつつ、中長期構えも賢明。上場(2015年9月)から今年末までの修正済み株価パフォーマンスは2倍を超えている・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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