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クラファンで先駆したミュージックセキュリティーズはいま、第2のステージを歩み始めている
九州フィナンシャルグループ(7180、東証プライム市場)の社長:笠原慶久氏(肥後銀行頭取)とは、一面識もない。がある事実を知り、いま魅力を覚えている。
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クラウドファンディング(クラファン)で先行した企業に、ミュージックセキュリティーズがある。そもそもは「音楽家がCDを出そうとするとき、レコード会社の意向が優先される。そんなの自由な創造とは程遠い」と考えた音楽大好き人間が、「作曲家とその曲に惹かれる個人とを繋ぎたい」と考えたのが契機だった。
一口1万円で個人と作曲家を結ぶ枠組みを考え、興した企業だった。そう、まさしくクラファンの運営企業である。一口1万円の投資家には作品の売上に応じた分配金や、ミュージシャンのCDの包装紙に投資家の名前が記されるなどのリターンがもたらされた。
これを皮切りにミュージックセキュリティーズは例えば、2011年3月11日の東日本大震災に際しては「セキュリティ被災地応援ファンド」を組成するなど今夏まで1000本余のクラファンを組成してきた。
が同社ではクラファンを組むほどに「単独の過小資本では、成長のスピードに懸念が払拭できない」という思いを強めていった。そんな中で感銘を覚えたのが、2016年4月に発生した熊本地震に際しての肥後銀行の姿勢だった。ミュージックセキュリティーズ同様の理念に基づく対応だった。肥後銀行グループの傘下に入ることを視野に入れ始めていった。
一方、肥後銀行頭取:笠原氏には熊本地震に際しての忸怩たる思いがあった。「銀行として支援できる部分と、出来ない部分あることを痛感した」という。あれこれ思いを馳せた。
ミュージックセキュリティーズではいま、「弊社の金融スキームを活用することで、銀行で支援できない部分についても手を差し伸べられることに強く感銘したと聞いている」としている。
結果が双方の思いは2020年1月に設立された、グローカル・クラウドファンディング。九州フィナンシャルグループ、熊本第一信用金庫、九州電力、ミュージックセキュリティーズの4社を株主とする「地域特化型クラウドファンディング」。そしてそれを止揚する形で、今年8月に肥後ブリッジ投資事業有限責任組合との間でミュージックセキュリティーズの資本提携が行われた。これを機にミュージックセキュリティーズは、肥後銀行グループ入りを正式に申請した。
肥後銀行もその足跡を確認した上で、前向きに検討した。
ミュージックセキュリティーズはいま肥後銀行にあり長らくM&Aに携わり、複数社の経営にも関与した中園浩輝社長体制下で第2ステージを歩み始めている。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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