あいおいニッセイ同和損保、生成AIのリスクを補償する保険提供へ 国内初

2024年3月5日 16:40

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生成AI向け商品の概要(画像:あいおいニッセイ同和損保の発表資料より)

生成AI向け商品の概要(画像:あいおいニッセイ同和損保の発表資料より)[写真拡大]

 あいおいニッセイ同和損保は2月28日、生成AI(人工知能)の利用で生じたリスクを補償する「生成AI専用保険」の提供を開始すると発表した。AI技術の開発やコンサルティング事業を手がけるArchaic(アルカイック)と共同で開発した。知的財産権の侵害や情報漏えいなどが起きた際に、発生する費用を保険で補償する。2024年3月から提供を開始する予定だ。

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 生成AI専用保険は、Archaicが開発した生成AIシステム・サービスを利用する企業が補償対象となる。Archaicが保険契約者となり、利用企業を被保険者とする保険契約を結ぶ。

 対象リスクは、特許権、商標権、著作権などの「知的財産権侵害」、機密情報などの「情報漏えい」、事実に基づかないもっともらしい情報を生成する「ハルシネーション」の大きく3つ。損害が発生した際にかかる、調査費用・法律相談費用・再発防止費用・記者会見などの費用や、被害者への見舞金を補償する。

 例えば、生成したコンテンツが著作権の侵害で訴えられた場合や、生成AIの利用により名誉棄損やプライバシーの侵害が生じて対応費用がかかった場合などに補償対象となる。あいおいニッセイによると、生成AIのリスクを補償する保険の提供は、国内初という(2024年2月時点)。

 補償に加えて、未然防止や事故後の体制構築などの回復支援コンサルティングも行う。サービス運営はArchaicが担う。Archaicは2017年創業のベンチャー企業。AIのアルゴリズムをゼロから構築できる専門性・技術力を持ち、AIやAIを用いたシステムの受託開発、プロジェクト進行やコンサルティングなどを手がけている。サービス提供先は主に大企業で、LIXILやアルプスパインなどが名を連ねている。

 あいおいニッセイは、以前からAIを積極的に取り入れてきた。2022年11月には、英オックスフォード大学のAIベンチャーMind Foundry 社と、共同研究所「Aioi R&D Lab - Oxford」を設立。英国内にオフィスを構え、AIを用いたサービスの研究開発を行っている。

 研究所では、ビッグモーターの不正保険金請求問題を受け、自動車修理工場の請求傾向を分析・スコア化して不正疑義を可視化するAIを開発。23年12月より自社内で運用を開始している。

 あいおいニッセイらは今後、「あらゆる企業が安全・安心に生成 AI を利用できる環境の構築」を目指すとしており、対象範囲や事業の拡大を見据えている。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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