関連記事
24年問題の対応進む遠州トラックは、中期構えの取組も一法か
物流2024年問題。トラックドライバーの時間外労働を、上限960時間に規制することに伴う物流市場の混迷をさす。全国トラック協会によると「無策」のまま推移すると、こんな事態が生じるという。
【こちらも】3月上場の駐車場オンライン管理支援のハッチ・ワークは好収益した、地相場入りとみるが!?
「2024年の輸送能力不足14.2%が、30年には34.1%に拡大する。求められる輸送t量は4.0億t/9.4億tにもかかわらずだ」。
どんな対応策が求められるか。
「荷待ち時間・待機時間の削減策とし、予約システムの導入」
「リードタイムの延長=長距離輸送は中1日を開け、満載状態での効率輸送」
「燃料チャージャーや付帯作業料金、高速料金の収受」
などを示しているが、逆に荷主への負担増が生じる。トラック業界にとり、物流24年問題クリアは決して容易ではなさそうだ。
住友倉庫が発行済み株式の60%を保有する筆頭大株主の遠州トラック(9057、東証スタンダード市場)の、足元を覗いてみた。
21年/22年3月期は「16.3%増収、33.8%営業増益、25円増配70円配/8.1%増収、2.5%営業増益、10円増配80円配」としっかりの推移を示したが、23年3月期は「4.8%増収、1.2%の営業減益、14円増配94円配」と陰り(?)が見え始めた。
そして前3月期は「4.7%増収、17.7%営業減益、94円配据え置き」。前期の決算資料には「燃料価格の高止まり、24年問題への対応を迫られる・・・」といった文言が目立つ。
が今3月期は一転「6.5%の増収(500億円)、18.5%の営業増益(31億円)」計画。そして既に開示済みの第2四半期は前年同期比「4.6%増収(241億4000万円)、21.8%営業増益(14億8000万円)」と、上々の滑り出し。
中間期の決算資料は、こう発信している。「インターネット通販向け輸送業務が伸長し、昨年10月竣工の袋井市の大型倉庫の本格稼働などが売り上げ増に寄与。人件費・外注費・減価償却費増、運用効率改善・価格転嫁が進み・・・」。
一山超えた、というニュアンスが感じられる
遠州トラックでは至26年3月期の中計が進行中。「売上高522億円(23年3月期比16.5%増)、営業利益36億5000万円(15%増)、投資総額90億円」を掲げているが、こんな後押し材料も進められている。「荷主との納期などの条件交渉が進んでいる。自社倉庫を介した中継輸送も進む」といった具合。
本稿作成中の時価は2500円台終盤。昨年来高値(7月の2730円)から200円近く下値にある。予想税引き後配当利回り2.9%余。対応の余地も覚えるが、中長期構えも一法か。過去10年近い修正済み株価パフォーマンスは3倍強・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク