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生命が宇宙からもたらされた確率は10万分の1? 米国の研究
オウムアムアのイメージ画像。(c) European Southern Observatory, M. Kornmesser[写真拡大]
星間天体は太陽系外から太陽系に飛来する天体で2017年に発見されたオウムアムアがその第一号だ。それからわずか2年後に2つ目の星間天体であるボリソフ彗星が発見されたことで、星間天体の存在はありふれたものになった。この星間天体の一部が何らかの原因で地球に降り注ぎ、それがきっかけで地球に生命の起源となる物質がもたらされたとしても不思議ではない。現に2014年には星間天体と思しき隕石(CNEOS2014-01-08)が太平洋に衝突したことも判明している。
【こちらも】太陽系外由来天体「オウムアムア」の誕生メカニズム 米中での研究
星間天体の発見以降、地球生命の起源が宇宙からもたらされたという仮説(パンスペルミア説)の妥当性を検証する機運が高まり、つい最近その確率を具体的な数字で示した研究論文が科学論文サーバーarxivで公開された。この論文はアメリカ天文学協会(AAS)によって出版に向けて査読の段階にあり、正式に出版が認められたものではないが、その内容は非常に興味深い示唆に富んでいる。
この研究はアメリカのトーマスジェファーソン科学技術高等学校、ジョージメイソン大学の科学者らによるもので、地球誕生から約8億年間に地球環境に影響を与えた星間天体(隕石のような小さなものも含む。)の総数を概算し、宇宙から生命の起源となる物質がもたらされた確率が10万分の1であることを示した。
単純計算で言えば、もしも地球が10万個あったとしたらそのうちの1個で誕生した生命の起源は宇宙からのものであったということになるが、この数字の裏には銀河系に約40億個のハビタブルゾーンにある惑星が存在し、生命が存在する惑星が1万個もあるという事実が隠れているのだ。パンスペルミア仮説が正しいとする確率がたとえ10万分の1だとしても、ゼロではないことに大きな意味がありそうだ。
パンスペルミア仮説で最も広く受け入れられている考え方は宇宙はRNAであふれているというものだ。RNAが宇宙から地球に飛来し、やがてそれがDNAに変化し、生命誕生へと繋がったとの考えである。パンスペルミア仮説が正しいとしても生命が誕生し、進化できる星の数は宇宙の星の総数に比べれば極めて少ないという事実に変わりはない。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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