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有人潜水艇による日本海溝底の調査、海溝型地震で生じた断層崖を世界で初めて発見
新潟大学や東京海洋大学、西オーストラリア大学などの国際研究グループが 2011 年東北地方太平洋沖地震 (以降、東日本大震災) の震源域にある宮城県沖の日本海溝で有人潜水艇による海底調査を行い、同地震で隆起した海底に高さ 26 m の断層崖を発見したそうだ(新潟大学のニュースリリース、研究内容詳細: PDF、論文)。
さまざまな観測により、東日本大震災では西に約 100 km 離れた震源で発生した断層のズレが日本海溝の海底に達し、付近の地盤を東に 50 m 以上動かしたと推定されていた。これまで水深 6,500 m を超える超深海にある日本海溝の海底を直接調査する手段はなかったが、2022 年 8 ~ 9 月の「プレッシャー ドロップ号 環太平洋火山帯 2022 日本航海」では地球上のあらゆる深海底に到達可能なフルデプス潜水艇リミッティング ファクター号による日本海溝への潜航調査が行われ、震源域の宮城県沖日本海溝の水深約 7,500 m の海底で地形・地質が調査された。
これにより、高さ 59 m の隆起地形の東の縁に落差 26 m の垂直に近い崖があり、その下方斜面は崖から崩落したとみられる大量の岩塊で埋め尽くされていることが判明した。この断層崖は地震時の断層で東に 80 ~ 120 m 動いた地盤の先端が急激に約 60 m 持ち上げられ、断層沿いに崩落したことで形成されたと推定され、内陸部で起こる地震による数十 cm ~ 数 m の断層崖と比較すると破格の規模だ。海溝型地震で現れた断層崖を海底で観察・記録した報告は日本海溝以外の地域を含めて世界で初めてだという。
現在日本に超深海の海溝底まで到達可能な探査機や潜水艇はないが、今回の発見で海溝の科学調査にフルデプス有人潜水艇が有用であることが実証された。今後もフルデプス有人潜水艇を含む外国の研究船による調査が計画されており、超深海の研究が格段に進むことが期待されるとのことだ。
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