ひも理論から導かれる、宇宙の真の姿はホログラム?

2023年12月29日 16:10

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タブレット端末画面(2次元平面)から映し出された地球のホログラムのイメージ。タブレット端末画面が宇宙の実態で、そこから映し出されたホログラムを人間は本物の宇宙であると錯覚しているのだろうか?

タブレット端末画面(2次元平面)から映し出された地球のホログラムのイメージ。タブレット端末画面が宇宙の実態で、そこから映し出されたホログラムを人間は本物の宇宙であると錯覚しているのだろうか?[写真拡大]

 重力について正確に理解している人類は、おそらく1人もいないだろう。重力は力の一種であるとつい100年程前まで考えられてきたが、その常識を覆したのがアインシュタインだった。

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 正確に言えば、重力の本質は時空の性質であり、それによって人間は物体に重力が作用しているように見えているだけなのだ。と言われてもピンと来ない人が大半だろう。だが重さを持たない光が重力で曲げられる事実を考えれば、少しだけ分かった気にもなれる。

 アインシュタインが画期的だったのは、宇宙のどこでも時間が同じように進むという、それまでの常識を覆した点にある。時間は絶対的ではなく、物が存在すると時間の進み方が遅れる性質が宇宙空間にあると考え、時空という概念を取り入れた。つまり、宇宙のいたるところで時間の進み方が異なるのが時空の性質で、それによって人間は物に重力が作用していると錯覚しているのだ。

 アインシュタイン以降、人類は重力理論を極めブラックホールの存在を突き止めたが、ブラックホールの事象の地平線の向こう側、つまり重力が無限大になる世界について、従来の理論(相対性理論や量子論)だけでは理解が及ばなくなってしまった。

 ユニバース・トゥデイで、この問題に関する分かりやすい解説記事が掲載された。ゼロ以外の数をゼロで割ると無限大になり理論が先に進めない。これを解決すべく素粒子を大きさのないゼロ次元の点ではなく、目に見えないほど小さな1次元のひもとして定義することで、この問題を回避するのがひも理論だ。

 ひも理論では、事象の記述に数学的矛盾を起こさぬよう、時空を10次元と仮定する。そこから導かれる結論は、重力は存在せず時空の性質は量子力で説明でき、人間には3次元に見える時空の真の姿は非常に薄い2次元の膜であるというものだ。

 これが正しいかどうかは証明できないが、例えば量子もつれのような情報伝達に全く時間を必要としない不可思議な事象(通常情報伝達は光の速度に拘束され、宇宙の彼方にある天体の光も長い時間をかけて地球にやってきている)も、これで説明がつき好都合だ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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