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火星の夜空を緑に照らす発光現象、初めて確認 欧州宇宙機構
火星の大気中での緑色の発光を検出するESA の ExoMars Trace Gas Orbiter のイメージ。(c) ESA[写真拡大]
火星の夜は、暗闇の世界だけではないようだ。欧州宇宙機構(ESA)は10日、ExoMars Trace Gas Orbiter(TGO)ミッションにより、火星の極致付近の大気中で、目視できるレベルの明るさの発光現象を初めて確認したと発表した。
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この発光現象は、晴れた空の下では人間が近くで見ることができ、探査車が暗い夜に移動できるほど明るい可能性があるという。同様の発光現象は地球上でも存在するが、火星の夜側で観測されたのは初めてのことだ。
この夜光は、火星上空約50kmで2つの酸素原子が結合し、酸素分子を形成する際に発生するものだ。もう少し詳しく説明すると、夏の大気中で太陽光により、火星大気中の二酸化炭素分子が分解され、その結果生成された酸素原子が、風によって冬の高緯度へと移動。高度40~60kmの火星大気圏にまで運ばれ、酸素分子として再結合し、低高度で発光するものだ。
ESAのTGOミッションでは2020年に、昼間の火星上空で緑色に輝く酸素原子を検出していたが、昼光発光が地球以外の惑星の周囲で観測されたのは初めてのことだった。今回の発見でこの時の発光現象が夜でも起こっていることが確認されたわけだが、NASAが公表している最新データによれば、火星の大気の構成は、二酸化炭素が96%で、酸素はわずか0.13%に過ぎない。緑色の発光現象の元になった酸素は、二酸化炭素が分解されてできたものであることは間違いない。
今回発見された発光現象は、オーロラとは機構が異なる別の現象だという。オーロラは太陽からの高エネルギー電子が上層大気に衝突する時に発生するもので、位置と時間によって発光の強さが変化する。これに対して今回観測された火星上空での発光現象は、酸素原子から酸素分子が結合される際に起こるもので、発光の強さは位置や時間による変化は少なく、より均一なものだという。
それにしても火星の大気圧は地球の0.75%程度しかなく、大気が非常に希薄であるにもかかわらず、人間の目に見えるほどの明るさの発光現象が確認されたことは驚きに値する。実際に人類が火星に到達し、この光を直接目にする日が来る日も近いことだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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