NASAの探査機Juno、木星の衛星ガニメデで塩と有機化合物を発見

2023年11月8日 16:34

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2021年6月7日のフライバイ中にJunoCamが撮影したガニメデ (c) NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kalleheikki Kannisto

2021年6月7日のフライバイ中にJunoCamが撮影したガニメデ (c) NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kalleheikki Kannisto[写真拡大]

 NASAジェット推進研究所は10月30日、探査機Junoが、木星の衛星ガニメデの表面に無機塩と有機化合物が存在していることを突き止めたと発表した。

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 Junoは、2011年8月5日に打ち上げられたNASAの木星探査機で、2021年6月7日に最低高度1,046kmでガニメデ上空を飛行している。イタリアの宇宙機関であるアジェンツィア・スパツィアーレ・イタリアーナによって建造された観測装置「JIRAM」により、表面の赤外線画像と赤外線スペクトル情報を取得。水和塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、および脂肪族アルデヒドを含む非水氷物質の独特のスペクトル特徴の検出に成功したという。

 木星の衛星ガニメデは、直径5,262km(月の1.36倍に相当)で、太陽系では最大の衛星となる。太陽系の衛星では唯一磁場を持ち、地球の海水よりも多くの水を含む内海が存在する。

 磁場の存在は生命誕生にとって非常に重要で、地球が太陽風で大気を剝ぎ取られることなく今日の姿を保っているのも、磁場があるためだ。

 ガニメデは、木星の強烈な磁場によって生み出される高エネルギーの電子や重イオンの衝突にさらされ、無機塩も有機分子も本来なら存在できない。だがガニメデの磁場のおかげで、赤道から緯度40度程度までの低緯度領域では、木星からの高エネルギー粒子衝突から遮蔽されているため、今回発見されたような生命誕生につながりうる無機塩や有機化合物が存在可能なのだ。

 Junoは2023年12月30日に、最も木星に近い軌道を周回する衛星イオに接近する予定で、その際には上空約1,500kmに到達する。イオには400を超える火山があり、地質学的に見て非常に活発な天体で、非常に興味深いデータが得られることが期待されている。

 ガニメデもイオも、ガリレオ衛星として良く知られた存在だが、木星からの影響だけでなく、ガリレオ衛星相互の重力の影響(イオの火山活動もこれに起因)も受け、地球とは異なるメカニズムで様々な現象が起きており、興味の尽きない存在だ。

 なお今回のガニメデでの発見に関する研究詳細は、Nature Astronomyで公開されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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