火星での永住生活に必要な最少人数は22名 米ジョージ・メイソン大の研究

2023年8月27日 08:28

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有人火星飛行のイメージ画像(画像提供:SpaceX)

有人火星飛行のイメージ画像(画像提供:SpaceX)[写真拡大]

 人類が再び月面に降り立つ時期は、早くて2025年以降とされる。火星に人類が降り立つのは、それからさらに先の話で2030年代に実現すべく検討が行われているものの、実現の可能性は現段階では全くの未知数だ。まずはアルテミス計画で月面へ到達し、そこでの長期滞在を可能にすることが大前提で、そこで得られた様々なノウハウを火星ミッションで活用していくことになるだろう。

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 アメリカのジョージ・メイソン大の科学者らが、エージェント・ベース・モデルと呼ばれるシミュレーション手法を用いて、火星で永住を実現するのに必要最小限の人数についての検証を行い、研究論文を公表した。

 火星での永住を可能にするためには、呼吸に必要な酸素や生活維持に必要なエネルギーの現地調達を実現する必要がある。現在最も有力視されているのは、火星に存在している水から酸素と水素を取り出す技術だ。

 また火星滞在者は、長期間地球を離れることによる心理的問題にも直面する。今回の研究では、物質面や心理面で長期間での火星での居住を可能にできるコロニーのモデルについて、4つの異なる性格タイプの人間によるチームで、最長28年間の滞在期間を想定。火星滞在チームに必要な最小限の人数についてシミュレーションで割り出した。

 その結果、火星長期滞在に必要な最少人数は22名であることが判明したという。友好的な性格を持つ人は、火星の過酷な環境で生き延び、繁栄して植民地を存続させる可能性が高い。一方で神経質な性格の人は任務に失敗し、早期に死亡する可能性が高く、任務全体が危険にさらされることも判明した。

 22名が生き延びるために必要なインフラ整備は、無人ロケットを先に火星に送り込み、ロボットを使って建設を進めれば実現可能だろう。だがいざ人間を送り込む段になって、火星に到達するまでの1年以上に及ぶ期間を狭い宇宙船で過ごす孤独感や不安に、果たして人間は耐えられるのだろうか。また22名をどうやって火星に送り込むのか具体的なイメージはなく、今のところ火星永住はまだ夢物語に近い。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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