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相場展望4月24日 米国株: インフレ懸念再発か、株価反発も上限に到達か 日本株: 来年度業績見通しは慎重を予想、売りは今週か
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)4/20、NYダウ▲110ドル安、33,786ドル(日経新聞より抜粋)
・電気自動車テスラなど主要企業が減益決算を発表し、企業業績への不透明感が強まる。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが続き、米景気を冷やすとの観測も投資家心理の重荷になった。
・NYダウの構成銘柄では、朝方発表した四半期決算で1株利益が市場予想に届かなかったクレジットカードのアメリカン・エキスプレスが下落。通信のベライゾンも大幅安。決算を受けて業績不透明感が強まった同業のAT&Tが急落に連れた。NYダウ銘柄ではないが、テスラは▲11%下げる場面があった。1~3月期決算で売上高や、利益率が市場予想を下回り、▲24%減益となったことが嫌気された。
・FRBの利上げが長期化し、米景気悪化を招くとの見方から景気敏感株や消費関連株が売られた。4/20発表の4月フィラデルフィア連銀の製造業景況指数が市場予想以上に悪化した。一方、NY連銀のウィリアムズ総裁は4/19夜の講演で、高インフレを抑制するための利上げ継続を支持した。クリーブランド連銀のメスター総裁も4/20、インフレ目標達成のために一段の金融
引締めが必要との見方を示した。
・「市場が6月以降も米利上げが続く可能性を織込み始めた」との声があり、NYダウは一時▲200ドル近く下げる場面があった。売り一巡後は下げ幅を縮小する場面があった。
・ハイテク大手を含め、来週に掛けても主要企業の決算発表が続く。実績や見通しを見極めたい投資家が多かった。
【前回は】相場展望4月20日 米国株: 信用不安の確率が高まる恐れ⇒景気後退へ 日本株: 決算発表時期到来、株価跳ねたら利益確定を
2)4/21、NYダウ+22ドル高、33,808ドル(日経新聞より抜粋)
・NYダウは4日ぶりに反発した。
・2023年1~3月期決算を発表した日用品のP&Gが上げ、NYダウを下支えした。もっとも、来週の大手ハイテク企業の決算発表を見極めようと相場全体は方向感を欠く展開だった。
・朝発表の2023年1~3月期決算で売上高が市場予想を上回ったP&Gが+3%高。来週はソフトウェアのマイクロソフトや交流サイトのメタ、ネット通販のアマゾンといった大手ハイテク企業の決算発表を控え、積極的に持高を傾ける動きは限られた。
・午前発表の4月米製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.4と、市場予想49.0を上回った。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引締めが長期化し、景気が悪化するとの懸念が重荷となり、下げる場面もあった。米金利先物の値動きから米金融政策を予想する「フェドウオッチ」によると、 5月米連邦公開市場委員会(FOMC)で+0.25%の利上げを決める確率は4/21夕時点で80%台後半まで上昇した。
・市場では「FRBが5月に+0.25%利上げするとの見方がある程度織込まれている。投資家の関心はFOMC後の動きへと移っている」との声が聞かれた。
・NYダウ構成銘柄では、スポーツ用品のナイキやホームセンターのホームデポなどが上昇。一方、石油のシェブロン、医療保険のユナイテッドヘルス、半導体のインテルが下げた。ナスダック総合では、アマゾンは+3%高、高級車種の値上げを発表した電気自動車のテスラは買われた。
●2.米国株:
(1) 米国インフレ懸念の再燃リスク浮上
(2) 米企業業績減速のおそれ
(3) 米国株価は高水準(SP500のPERが18.9倍)の怖さ
に注意したい
1)英国のインフレ高止まりを受けて、米国インフレ懸念が再燃
・米金利上昇に伴うドル買いが再開 ⇒ 米国の輸出増に点滅信号。
・ドル高による需要減退懸念で、原油先物は続落。
WTI原油先物価格 4/12 83.26ドル ⇒ 4/21 77.82 ▲6.5%安
・雇用が増加し、金利上昇とインフレ圧力を押し上げ。
・雇用需要が増加し、熟練労働者の採用や維持に苦慮、生産の遅れが拡大のおそれ。
・金利上昇とインフレ圧力を理由に、「楽観」論が低下方向に。
・米企業活動は上向き、4月PMIは予想外に上昇⇒インフレ加速リスク。
米国の4月総合購買担当者指数(PMI)は53.5と前月から+1.2上昇。
昨年後半から活動縮小が続いていたが、ここ3カ月連続で活動拡大が続く。
2)米国株の先行きに警戒
・地銀破綻は、いったん収まったに見えるが、再度起こる可能性がある。
地銀の破綻は、地銀経営者がFRBの金融政策転換を軽く見たことの誤りで、従来通りの甘いリスク管理を継続したことによる経営の失敗が要因である。そのため、同様の地銀破綻が起こる可能性が高いと予想する。
・また、2地銀の破綻後、銀行の貸付け条件が厳格化し、信用収縮している。
貸し剥がしも見られ、脆弱な企業が倒産へと波及する可能性がある。
・結果、消費マインドが悪化し、消費支出の減速に波及し始めている。
例:米インテリア・家庭用品小売のベッドバス・アンド・ビヨンドの破産法適用申請
・まして、米企業業績の減速が見込まれるだけに、注意が必要と思われる。
3)米国主要3指数のうち、SP500の株価収益率(PER)は18.9倍と高水準
・過去、PERが19倍前後から高くなると、株価は下落しているケースが見られる。いわゆる「高値恐怖症」が起こるリスクがある。
・SP500は、
(1)天井を切り下げている
(2)直近の4,179に接近、反発はここまでか!
(3)直近の株価の値動きは「警戒感」の表れかもしれない。
2021/12/27 4,791
2022/03/29 4,631
08/16 4,305
2023/02/02 4,179
04/19 4,155
04/21 4,133
4)また、世界最大の運用会社ブラックストーンへの資金流入額は減少傾向が見られ、決算も前年比▲36%の減益が発表された。
5)米国株式も直近高値から下落して反発したが、チャートの勢いは鈍化の兆しをみせている。
●3.ブラックストーン、1~3月前年同期比▲36%減益、金利上昇に伴う市場混乱で
1)急成長の局面が終了しつつある状況にある。(ブルームバーグ)
2)資金純流入額が1~3月は+295億ドルと、前年同期の+399億ドルから減少した。
●4.米ベッドバスが破産法適用申請、500近い店舗閉鎖へ、数千人が失業も(ブルームバーグ)
1)資産44億ドル、負債52億ドル
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)4/20、上海総合▲3安、3,367(亜州リサーチより抜粋)
・前日の軟調地合を継ぐ流れとなった。
・主要企業の決算報告が進むなか、業績動向を見極めたいとするスタンスが強まった。
・また、インフレの高止まりを背景に、欧米が利上げを継続との観測もマイナス材料。
・ただ、下値は限定的。
・中国景気の持ち直しや、当局の経済対策に対する期待感は根強く、指数はプラス圏で推移する場面も見られた。
・業種別では、消費関連の下げが目立ち、素材・医薬品・不動産・銀行・公益が売られた。半面、ITハイテクは物色され、エネルギー・通信・メディア・娯楽・保険が買われた。
2)4/21、上海総合▲65安、3,301(亜州リサーチより抜粋)
・米国の対中国圧力が警戒される流れとなった。
・外電は4/21、「5/19に開催される主要7ヶ国首脳会議(サミット)前後にも、バイデン米大統領は米国企業に対中国投資を制限する大統領令に署名する見通し」との消息筋情報を伝えた。米中の経済分断で、企業活動に影響が生じるとの見方が広がっている。
・業種別では、ITハイテクの下げが目立ち、素材・保険・証券・消費関連・不動産・エネルギー・運輸・銀行などが売られた。半面、軍事関連が物色され、医薬・医療の一角が買われた。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)4/20、日経平均+50円高、28,657円(日経新聞より抜粋)
・朝方は欧米の金融引締め長期化観測を背景に売りが先行した。売り一巡後は、政府の政策期待に伴う買いが半導体株に入り、日経平均は上げに転じた。
・4/20午前に岸田首相が海外からの投資促進策の一環として、半導体などの分野でサプライチェーン確率の数値目標を盛り込んだ「アクションプラン」を月内にも示すと伝わった。朝方に一時、3カ月ぶりの安値を付けた東エレクなど半導体関連に買いが入り、日経平均を押し上げた。「数値目標を織込むなら具体的な政策が出てくる、との期待が市場で高まった」との声。
・日経平均は朝方から下げて始まり、▲164円安となる場面もあった。4/19発表の3月英消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回った。米国でも物価高止まりが続くとの見方があり、欧米の金融引締め長期化観測を背景に売りが出た。日経平均が4/18に付けた年初来高値28,658円を上回る場面では、高値警戒感から個人投資家による利益確定の売りも、相場の上値を抑えた。
・ファストリが上昇し、1銘柄で日経平均を+40円強押し上げた。ソニーは年初来高値を更新。京セラ・TDK・キーエンスが高い。半面、ソフトバンクG・信越化・エムスリー・中外薬・第一三共は下げた。
2)4/21、日経平均▲93円安、28,564円(日経新聞より抜粋)
・米景気の先行き不透明感や円高の進行が重荷となり、利益確定売りに押された。一方、半導体関連で指数寄与度が高い東エレク・アドテストが上昇し、下支えした。
・米国では弱い経済指標が相次ぐなかで、前日の主要3株価指数がそろって下落し、日本株の売りに波及した。電気自動車(EV)大手のテスラの2023年1~3月期決算が大幅減益となるなか、自動車株が下落した。円相場で133円台後半まで円高・ドル安が進んだことも輸出関連株を下押しした。米金利低下を背景に、銀行株や保険株の下げも目立った。
・一方、米ラムリサーチや台湾積体電路製造(TSMC)の決算を受け、半導体市況の底入れ期待が急速に広がり、関連銘柄は軒並み高となった。
・日銀の金融緩和路線の継続期待や、東証の低PBR(株価純資産倍率)企業への改善要請なども追い風となり、日経平均は一時上げに転じて4/18に付けた年初来高値28,658円を上回る場面もあった。
・市場では「日本株を取り巻く環境は悪くないが、米景気悪化の影響が気懸かり。株価が一本調子で上げるのは厳しい」との声が出ていた。
・日産自・楽天・三菱UFJ・TDKが下落し、東ガス・川崎汽・Jフロントが上昇した。
●2.日本株:今週は「手仕舞い売り」の1つの機会か
1)5月株式相場の格言「5月に売れ」がある。
・確かに、過去を見ると5月に下洛しているケースが多い。
・米国では、企業業績に変調を発表する企業が見られ、信用収縮に耐えきれない企業が出始めている。米国株に連動しやすい日本株は、要注意材料となる。
2)日本の3月期決算企業の2024/3業績計画発表も全般的には、慎重な内容となる可能性があり、好材料が目白押しとはならない見通し。
3) 3月期の決算発表が本格化する前の、今週が「手仕舞い売り」の機会の1つ。
・植田・日銀総裁による記者会見で、「金融政策の修正」予想があったが、何もなかったことによる安心感から、「緩和策継続」と好感して株価は上昇した。その上昇となった根拠の脆弱な理由から、反動安もあり得る。
・日経平均は4/7~18と8日連騰し、+1,186円と急伸した。
4/6終値27,472円⇒4/18終値28,658円 +1,186円高 +4.3%上昇
・高値警戒感が、先週の日経平均の値動きに表れている可能性がある。
4/17 4/18 4/19 4/20 4/21
日経平均 +21円高 +144 ▲52円安 +50 ▲93
・最近の株価上昇は、外国人投資家による株式先物を使った「買い仕掛け」の寄与が高いと思われる。
・外国人投資家は、過去の4月第4週に総合で「売り転換」している。
2021年4月第4週 ▲1,756億円(先物:▲1,941売 現物:+ 185買)
2022年4月第4週 ▲ 209億円(先物:▲1,724売 現物:+1,515買)
・加えて、日本の企業経営者は、2023年度業績予想を「慎重なスタンス」で決算発表時に表明する可能性が高いと思われる。
・以上の観点からも、今週が「売り手仕舞い」の1つの機会と見た。
●3.日本銀行は今週の金融市場決定会合で、政策変更しない方向に (ブルームバーグより抜粋)
1)日本銀行が来週4/27~28に開催の金融政策決定会合で、イールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)政策を修正することへの慎重な意見が日銀内で広がっている。欧米の金融不安に伴う海外経済の不確実性の高まりや、市場機能の改善について、なお見極めが必要との認識がある。
●4.日銀大規模緩和継続との思惑で円売り再開(フィスコ)
1)日銀の早期政策修正観測後退で、円の売戻が優勢となった。
●5.日本の昨年度貿易収支▲21.7兆円の赤字、1979年度以降で最大(NHK)
■IV.注目銘柄(投資はご自身の責任でお願いします)
・4307 野村総研 業績堅調。
・6201 豊田自動織機 業績堅調。
・6098 リクルート 業績堅調。
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