現行NISAは2023年まで 新NISAへ向けて今年意識したいポイントとは

2023年1月8日 17:47

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 新年となり、なにか新しいことを始めるのに最適な時期である。昨年末に岸田政権が発表した「貯蓄から投資へ」というキーワードは印象深く、投資について気になり始めた人も少なくないのではないだろうか。

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 投資など資産運用に関する2023年の動きとして、現行のNISA制度が終了し2024年から一新することが挙げられる。最新の令和5年与党税制改正大綱でも、2023年で現行NISAは終了し、2024年から新しいNISA制度へ再構築される旨が記されている。

 現行NISAの具体的な変更点として、2023年をもってジュニアNISAの投資可能期間が終了することが挙げられる。ジュニアNISAとは、0歳から19歳までの子どもを名義とした少額投資非課税制度。年間80万円までの投資額に対して5年間は運用益が非課税になり、ロールオーバーによりさらに5年の延長が可能な制度である。ジュニアNISAの特徴として、親や祖父母の代理運用が可能な点がある。

 ジュニアNISAが終了する理由にはいくつかあるが、他の一般NISAやつみたてNISAよりも活用されなかったという点は大きいようだ。そのためジュニアNISAを終了し、既存の一般NISAとつみたてNISAを深堀りし、一般的に活用されやすい制度として2024年から集約する目的がある。

 2024年からの新NISA制度では、一般NISAとつみたてNISAの併用が可能となる。これまではどちらかのみを選ぶ必要があったが、2024年からは併用可能となるため年間投資枠が増えることになる。名称は、一般NISAが成長投資枠に、つみたてNISAがつみたて投資枠にそれぞれ改称され、よりわかりやすくなるだろう。

 年間投資枠は、成長投資枠が現行の年間120万円から240万円へ、つみたて投資枠は年間40万円から120万円へ増枠される。併用する場合には年間360万円の投資枠となる。生涯で保有出来る総額は合計で1800万円までとなり、うち、成長投資枠は1200万円までとなっている。

 このほか新NISAの大きな変更として、制度の恒久化や非課税保有期間の制限がなくなることも挙げられる。制度に期限が設けられないことで、より長期投資を意識しやすくなることが考えられるため、これから投資を始めようと考えている初心者でも取り組みやすい制度となる。

 今年は、新NISA誕生前年にあたる。2024年からの大きな制度変更を前に、少しずつ資産運用に向けて環境を整えることをおすすめしたい。

 まず家計の中からいくらまでなら投資の原資として捻出出来そうか、今一度検討してみてはいかがだろうか。そのうえで今年はまず少額から投資可能なつみたてNISAを実際に始めてみることで、投資について学ぶのもおすすめである。

 2023年末までの現行NISAを利用した枠は、2024年から始まる新枠とは別枠で、現行制度の非課税処置が適用される。新制度へはロールオーバーされないため、非課税期間には制限はあるものの、今年始めた枠は新NISAの上限1,800万円とは別に保持出来るため、新制度が始まることを待つ必要はないだろう。(記事:大野 翠・記事一覧を見る

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