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相場展望12月12日号 「悪材料」⇒「良い兆候」と受け止めが「悪い兆候」に転換注意、黄色信号が点滅、特に年明け後に注目
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)12/08、NYダウ+183ドル高、33,781ドル(日経新聞より抜粋)
・景気懸念からNYダウは今週▲830ドルほど下げ、「短期間で売られ過ぎ」との見方があった。その反動で、押し目買いが優勢で一時+300ドル超の上昇場面があった。
・12/8発表の週間の米新規失業保険申請件数が小幅ながら前週比で増加した。失業者の増加で、FRBが一段の利上げに動くと、懸念が和らぎ株式相場を支えた。
・ただ、12/9発表の米11月卸売物価指数(PPI)を見極めたい投資家が多く、買い一巡後は上値が重かった。米景気を巡る先行き不透明感は根強い。12/13~14のFOMCを控え、来年の政策金利見通しに関心が高まっている。PPIや12/13発表の米11月消費者物価指数(CPI)の結果を見て今後の金融政策のヒントを得たい投資家が多く、積極的な買いは見送られた。
・ボーイング・ナイキ・ホームデポなどの消費関連が高く、前日まで下げが目立ったマイクロソフト・アップル・アマゾン・メタが高い。エヌビィディアは+7%高。
【前回は】相場展望12月8日号 金利低下でもハイテク株は反落、流れに変化か 中国の「ゼロコロナ政策」の規制緩和にリスク
2) 12/09、NYダウ▲305ドル安、33,476ドル(日経新聞・NHK)
・朝方発表の米11月生産者物価指数(PPI)が前月比+0.3%上昇と、市場予想+0.2%を上回り、インフレが米FRBの利上げ継続を促すとの見方が強まった。米長期金利は3.59%と前日3.48%から上昇し、株式相場の重荷になった。円相場も円安・ドル高が進み、一時136円台後半まで円安となった。
・この日、発表された米11月卸売物価指数の伸びが市場予想を上回ったことを受け、大幅な利上げ継続で景気が冷え込むことへの懸念から売り注文が増えた。
・12/13発表を控える「米11月消費者物価数(CPI)でも根強いインフレ圧力が示されFRBの大幅な利上げが続くのとの警戒感が広がった」との声があった。
・このところ比較的値持ちも良かったディフェンシブ株が下げ、製薬のメルク・飲料のコカコーラが安い。下げがきつかった娯楽のディズニーなど消費関連は上昇した。原油安で石油のシェブロンの下げも目立った。
●2.米国株:黄色信号が点滅、「悪い材料」⇒「良い兆候」の受け止め方が「悪い兆候」に転換注意
1)主要株式指数の推移
8/16 9/30 11/30 12/9 コメント
・NYダウ 34,152ドル 34,589 ・11/30に8/16高値を抜く。
28,725 33,476 ・大幅上昇の反動兆候か。
・8/16⇒9/30 :▲5,427下洛、▲15.9%安
・9/30⇒11/30:+5,864上昇、+20.4%高
・11/30⇒12/9:▲1,113下洛、▲3.2%安
・SP500の高値数値の推移:昨年12/27最高値から戻り高値の切り下げ継続、下落基調は依然として変わらず
12/27 3/29 8/16 11/30 12/9
4,791 4,621 4,305 4,080 3,934
2)注目指標
・VIX(恐怖)指数は12/9に22.83、高値天井圏入りの20を12/5から上回る。
・米11月生産者物価指数(PPI)前月比+0.3%と予想上回り、金利上昇・ドル安に。12/9の米国株価にも波及しNYダウ▲305ドル下落。
・今までは、「悪い材料」も「良い兆候」として株価上昇してきた。今後は、「悪い材料」は「悪い兆候」と受け止められる可能性がでてくると見る。
3)注目イベント
・12/13 米11月CPI(消費者物価指数)の発表
・12/14 米FOMC結果、パウエルFRB議長の記者会見
●3.FAANGの時代は終了との見方が浮上、今年のハイテク株急落で(ブルームバーグより抜粋)
1)今年のテクノロジー株急落は、単なる弱気相場では無いと一部投資家は見ている。フェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズやアマゾンといった少数の大手企業にとって、1つの時代が終わったことを意味する。
2)アップル、ネットフリックス、グーグルの親会社アルファベットも加えた「FAANG」と呼ばれたこれら大手ハイテク企業は、デジタル世界への移行を率い、13年間に及ぶ強気相場の原動力となってきた。
3)しかし、1つの時代を先導したマーケットリーダーが次の時代を支配した例は、過去には殆ど無い。こうしたシフトが既に起きていることを示す初期兆候もある。ネットフリックスとメタは減速。アマゾン、アップル、アルファベットはその規模自体が、将来にこれまで同様の巨大なリターンを提供する可能性が低いことを意味する。
●4.米11月生産者物価指数は前月比+0.3%高、予想+0.2%・10月+0.2%を上回る(フィスコ)
●5.米12月ミシガン大学消費者信頼感指数59.1、予想56.9・11月56.8 (フィスコ)
●6.シティCEO、米経済は来年下期にリセッション入りの方向(ブルームバーグより抜粋)
1)米銀行シティのフレイザーCEO
・世界的にリセッション(景気後退)の状況入りと認識し、欧州は既に景気後退に陥っており、米国は遅れて来年下期に景気後退に突入する方向にあるとの認識。他国と比べて米国民を取り巻く状況は良い、と述べた。
・欧州はロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー危機から回復するまでに数年を要する可能性があると分析した。
2)JPモルガンチェースの部門共同責任者レーク氏
・米失業率は来年上昇し、再来年に5%でピークアウトする可能性が高く、これが来年末に「浅く短いリセッション」を引き起こす公算があると語った。
3)USバンコープのセシアCEO
・消費者の現金残高が近く無くなりはじめ、行動の変化や消費鈍化になる見通し。
4)ゴールドマンのソロモンCEO
・米経済の向こう12~24ヵ月の先行きで、しばらくぶりに不確実性が高まっているとし、困難な状況にも備えている、と述べた。
●7.FRBの政策転換に期待集中の投資家、経済の厳しい現実見えていない恐れ(ブルームバーグ)
●8.航空業界は2023年黒字化に転換か、国際航空運送協会が予測(トラベルボイス)
1)旅客数はコロナ前の86%まで回復見込み。
●9.NY原油は12/7、1年ぶり安値の一時71ドル台、世界景気減速を懸念(読売新聞)
1)市場では、中国の新型コロナ感染拡大や、米FRBの金融引締めの長期化を背景に、景気の冷え込みで原油需要が減るとの見方が広がった。
2)ロシアも加わったOPECプラスが減産を決め、供給不足から値上がりが想定されたが、消費の先行き懸念が上回った。
3)ロシアがウクライナ侵略を始めた2月以降、ピーク時の3/8には123.70ドルを付けた。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)12/08、上海総合▲2安、3,197(亜州リサーチより抜粋)
・中国の景気懸念が相場の重石となる流れだった。
・12/7公表の11月の中国貿易統計では、米ドル建て輸出入の伸びがそろって大幅に鈍化した。人民元建てでは、輸入が予想外のマイナスに転じ、内需の弱さが再確認された格好となっている。もっとも、下値を叩くような売りは見られない。
・中国リオープン(経済再開)進展の期待が支えとなっている。指数はプラス圏で推移する場面も見られた。
・業種別では、ハイテク関連の下げが目立ち、発電が安い。不動産が高い。
2) 12/09、上海総合+9高、3,206(亜州リサーチより抜粋)
・中国経済対策の期待感が相場を支える流れとなった。
・翌年の経済政策方針を決める重要会議「中央経済工作会議」が中国で12/15にも始まる・・などと伝わった。報道によれば、不動産を巡る政策スタンスが一段と軟化する可能性があるという。
・中国リオープン(経済再開)の進展も材料視された。
・中国本土で新型コロナの新規感染数は、12/8までに11日連続で減少。当局がコロナ防疫措置の緩和方針を打ち出したこともあり、各地で行動抑制などの措置が解除されつつある。コロナ対策を巡っては、李克強・首相が「緩和の措置により中国経済の成長は続く」と述べた。
・中国11月物価統計は、消費者物価指数(CPI)が前年同月比+1.6%増となり、市場予想+1.6%に一致。生産者物価指数(PPI)は▲1.3%となり、予想▲1.5%ほど下押ししなかった。
・業種では、不動産の上げが目立ち、金融もしっかり。発電・エネルギーは安い。
●2.中国、11月輸出は前年同月比▲8.7%減、輸入は▲10.6%減(TBS)
1)コロナ影響で、2ヵ月連続で前年実績を下回った。
●3.中国・自動車販売、11月は前年同月比▲9.5%減少、コロナ対策で客足減少(ブルームバーグ)
●4.米、CO2排出量連動型の鉄鋼・アルミ関税を提案(ロイターより抜粋)
1)CO2排出量が多い中国製品などに対抗する狙いがある。
・米国の鉄鋼メーカーは電炉で生産しており、石炭に大きく依存する高炉での生産が多い中国は低グレードの鉄鉱石が多いため、CO2排出量が高水準にある。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)12/08、日経平均▲111円安、27,574円(日経新聞より抜粋)
・前日の米株式市場ではハイテク株の下落が目立ち、朝方は投資家が運用リスクを避ける動きが強まった。利上げ継続による米景気減速の懸念も意識され、主力株を中心に売りが優勢となり、下げ幅は一時▲200円超を超える場面があった。
・午後は中国の衛生当局が新型コロナ対策の防疫措置に関する記者会見を開く予定で一段と規制が緩和されるとの期待が高まり、香港株式市場が上昇し投資家心理の支え となり、日経平均は下げ幅を縮めた。
・日本電産・東エレク・村田製・日揮・日立が安く、ソフトバンクGが上昇した。
2)12/09、日経平均+326円高、27,901円(日経新聞より抜粋)
・前日の米株式相場の上昇を手掛かりに幅広い銘柄に買いが入った。12/9の香港株や台湾株の上昇も追い風となり、上げ幅を広げる展開になった。
・日経平均は前日におよそ1カ月ぶりの安値水準を付けていたため、目先の反発を見込んだ買いが入りやすかった面もある。
・主要な半導体関連銘柄で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が前日に上昇し、東京市場でも半導体関連の上昇が目立った。
・午後に入ると、高値圏での膠着が続いた。新規の取引材料に乏しかったうえ、12/9の米株式相場の動向を見極めたいとの見方から積極的な売買は手控えられた。
・武田が年初来高値を更新、アドテスト+5%超上げ、TDK・ソフトバンクGも高い。2~10月決算発表の積水ハウス・スズキ・INPEXが安い。
●2.日本株:日経平均は11/24高値から、三尊を形成し反動安と軟調に推移している。
経験則では12月相場は「やや上昇」程度で、期待できない。
1)日経平均の推移 9/14 3/9 8/17 9/30 11/24 12/9
日経平均 30,670円 29,222 28,383
24,217 25,937 27,901
・9/14⇒3/9 :▲6,453円下落、▲21.1%安
・3/9⇒8/17 :+5,005円上昇、+20.7%高
・8/17⇒9/30 :▲3,285円下落。▲9.4%安
・9/30⇒11/24:+2,446円上昇、+9.4%安
・11/24⇒12/9:▲482円下落、▲1.7%
・2021/9/14高値30,670円からの戻り高値は下落基調を示す。11/24高値からの反動安は始まったばかりのため、注意したい。
2)日本株に新たな試練
・日本の半導体製造装置の主要企業の東京エレクトロン等、オランダではASMLに、米国から対中国への輸出規制を求められる。(閣僚ベースの要請)
●3.半導体製造装置の対中国輸出規制、米政府から日本政府に協力要請(産経新聞より抜粋)
1)日本が高い技術を持つ半導体製造装置などの輸出規制により、中国の先端半導体開発を遅らせるのが狙い。
2)米国は10月に安全保障の観点から、スーパーコンピューターや人工知能(AI)向けの高性能品の対中国輸出を幅広く制限する規制案を発表していた。米国は、日本やオランダの協力を得られなければ、規制の抜け穴ができるとの危機感があった。
●4.企業動向
1)大和ハウス 大和リゾートを恵比寿リゾートに556億円で売却(TRAICY)
2)JR四国 運賃・料金を5/20から平均12.82%値上げ(朝日新聞)
3)ANA 客室乗務員(CA)の新卒採用、4年ぶり再開へ(朝日新聞)
4)サントリー ワイン・ウイスキーなど3月から順次値上げ(TBS)
■IV.注目銘柄(投資は、ご自身の責任でお願いします)
・3563 FOOD&LIFE(スシロー) 業績回復基調。
・4307 野村総合研究所 業績堅調。
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