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海外に足元の収益を委ねるユニクロの現状と、新商品開発の枠組み
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ファーストリテイリング(東証プライム。以下、ファーストリ)。2023年8月期も幸先の良い歩み出しを見せた。小売業の動向を見る上で指標となる既存店小売店売上高(EC含む)が、主軸:ユニクロの22年9月で、前年同月比14.4%増。
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21年8月期の「6.2%増収、66.7%営業増益、94.3%最終増益」に続き22年8月期も期中の上方修正を経て「3.1%増収(2兆2500億円)、8.4%営業増益(2900億円)、11.9%最終増益(2500億円)」計画。開示済みの第3四半期でそれぞれ「1兆7651億円、2711億円、2475億円」を計上している。
ファーストリに関しては、今でも忘れられない思い出がある。山一證券が破綻(1997年11月)する直前に「ユニクロでいいよね。子供たちも育てられるよね」と、顔見知りの法人営業マンから唐突に且つ同意を促すような言葉を向けられた。
またエアリズムステテコは個人的に思い出・悔しさいっぱいの品。「夏でもこれで外出OK」に惹かれ数着まとめ買いした。が、所詮はステテコ。1度も外出時に身に着けることはなかった。夏場の仕事時に室内で使用している。
ユニクロにはヒートテックを初め、ヒット商品も多いがいつしか売り場から消えていった商品も少なくない。「商品企画」のプロセスを聞いてみた。電話口を介して、こんな説明を受けた。
「約1年前にマーチャンダイジングやマーケティング、素材開発などのR&D(研究開発)スタッフがコンセプト会議を開く。『よしいこう』となるとデザイナーが数多くのサンプルを作成し、緻密な調整が行われ実際に販売するデザインが決まる。1つの商品の生産枚数が100万着単位のロットになることが多いので、シーズン中の販売状況で生産調整が行われる」とした上で、「言葉で言うのは簡単だが・・・」と付け加えた。
電話口の御仁が言わんとすることは、第3四半期からも読み取れる。
『国内ユニクロ事業』: 前年同期比5.1%の減収、0.4%の営業減益。大きな要因として上半期に売れ筋商品に欠品が生じ、機会ロスを余儀なくされた。両輪の『ジーユー事業(5.1%減収、26.7%営業減益)』でも同様の「欠品」問題が影響している。
ファーストリの現状を覗き込むと、『海外ユニクロ事業』の牽引が目を引く。店舗数でも前期末で国内810店に対し海外は1502店。第3四半期で総売上高・総営業利益に占める海外比率は48%・49%。海外部門は前年同期比13.7%増収、49%の営業増益。ファーストリでは「円安効果もあるが、現地通貨ベースでも過去最高の業績となった」としている。
超値嵩株(本稿作成時7万円台後半)ファーストリは、投資対象としてどうか。よく大引け後の場況で「ファーストリの上昇寄与率●.●%P、下落影響度●.●%P」といった表現を目に耳にする。過去10年近くの修正値ベースの株価パフォーマンスは3.5倍に近い。だが日々の値上がり・値下がり幅も大きい。豊富な余資で臨むべき株と考える。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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