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相場展望8月18日 米国株:楽観で「需給相場」入り、忘れてはいけない「FRBの金利引上げ継続とQT(バランスシート圧縮)」
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)8/15、NYダウ+151ドル高、33,912ドル(日経新聞より抜粋)
・インフレがピークアウトし、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方が相場を支えた。米原油先物相場が大幅に下げたのもインフレ懸念を和らげた。
・反面、中国の工業生産や小売売上げが低調で先行き不安が、相場の重荷となった。
・インフレが弱まれば消費拡大につながるとの見方から、クレジットカードのビザなど消費関連株の一角が高い。「物言う株主」として知られる米投資ファンドのサードポイントが株式を取得したと伝わった映画・娯楽のディズニーの上げも目立った。
・米長期金利の低下で相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)株も買われ、アップル・エヌビディアなどハイテク株が上昇した。テスラ・バイオ製薬も高い。
【前回は】相場展望8月15日 米国株:理論上は上限到達、これ以上は「人気」が必要 日本株:売り手不在のなか、米株高を背景に短期筋の外国人買いで上昇
2)8/16、NYダウ+239ドル高、34,152ドル(日経新聞より抜粋)
・小売大手の決算が市場予想を上回り、消費関連銘柄や景気敏感株が買われた。
・反面、金利上昇をきっかけに、ハイテク株は売りに押された。
・5~7月決算が市場予想を上回る増収増益となったウォルマートとホームデポが大幅高となり、2銘柄でNYダウを+130ドル近く押し上げた。両社の決算を受け、景気が減速するなかでも消費は堅調と受け止められた。
・市場では「米景気の後退入りは回避できそうだ」との見方が強まった。
・消費関連ではドラッグストアのウォルグリーン、スポーツ用品のナイキが買われた。景気敏感株の航空機のボーイング、化学のダウなどにも買いが広がった。
・一方、米長期金利が上昇し、割高感が意識されやすい高PERのハイテクが売られた。
3)8/17、NYダウ▲171ドル安、33,980ドル(日経新聞より抜粋)
・NYダウは5日続伸で+1,377ドル上昇した後で、景気敏感株やハイテク株などに目先の利益を確定する売りが優勢なり一時▲323ドルまで下げた。
・米長期金利が上昇し、メタやエヌビディアなどハイテクが下げ、相場の重荷となった。
・このところ上昇していた景気敏感株が売られ、航空機のボーイングが▲3%下落。工業製品・事務用品のスリーエムや化学のダウも売られた。小売大手のターゲットが5~7月決算が大幅減益となり、消費関連の一角が売られた。
●2.米国株:楽観論で「需給相場」入り、忘れていけない「FRB金利引上げ継続とQT(市場から資金引上げ)」
1)現状は、行き過ぎた楽観論が促す「需給相場」入りの状態
・物価指標が出そろうまで買いを手控えてきた投資家が、相場上昇に乗り遅れまいと買っている。
・株式市場は、下落幅の「半値戻し」を達成すると、「次は全値戻し」という掛け声で上値を追って買いが入りやすい。
・行き過ぎの表れが、暗号資産の上昇、怪しげな「ミーム株」の再上昇。
2)忘れてはいけない、「FRB金利引上げ継続とQT」
・FRB高官は、市場の過剰な金融緩和期待に警告を発している。
・2023年半ばに政策金利4.4%もあり得る。
・過去の失敗「景気・経済指標で金利を上下した」は繰り返さない。
・金利引上げは継続し、物価目標2%達成までは、金利の高止まりを維持。
・QT(FRBのバランスシート圧縮)の本格実施は9月から
・6月から月475億ドル⇒9月から950億ドルに2倍となる市場からの資金回収。
・この株式相場への影響は、SP500で▲7%低下の効果とする試算あり。
・FRBの市場への資金供給(FRBの資産膨張)が「過剰マネー相場」を招いた。
・QTを決して、軽く見ない方が良い。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)8/15、上海総合▲0.8安、3,276(亜州リサーチより抜粋)
・中国景気の先行き不安が重石となる流れだった。
・中国7月小売売上高や鉱工業生産などが予想を大幅に下回り、伸びは前月から減速。8/12発表の7月金融統計では、人民元建て新規融資額が予想を下回っている。
・ただ、「景気不安は経済対策につながる」との見方もあり、指数はプラス圏で推移する場面があった。
・中国人民銀行(中央銀行)の緩和スタンスも相場を支えている。人民銀は8/15、約7兆8,900億円を市場に供給、金利は2.75%と予想に反して前回の2.85%から引下げられた。
・業種別では、金融が下げを主導し、医薬品・不動産が売られ、発電・電力設備が高い。
2)8/16、上海総合+1高、3,277(亜州リサーチより抜粋)
・中国人民銀行(中央銀行)の緩和スタンスが改めて材料視される流れとなった。人民銀行は8/15、金利を引下げた。8/22公表される最優遇貸出金利に関しても、引下げが予想されている。
・ただ、指数は安く推移する場面もあった。
・原油や金属の商品市況が嫌気されたほか、中国経済の先行き不透明感が重石となった。
・国内の電力不足により、一部地域で工場操業が一時停止に追い込まれていることも不安視された。
・業種別では、不動産の上げが目立ち、空運もしっかり、エネルギーは冴えない。
3)8/17、上海総合+14高、3,292(亜州リサーチより抜粋)
・中国の景気対策に対する期待感が相場を支える流れとなった。
・李克強・首相は8/16、広東や江蘇・浙江など主要な6省とビデオ会議を実施し、経済下支えのためマクロ経済政策を強化し、消費促進と投資拡大に向けた措置を拡大すると表明した。ただ、中国経済の先行き不透明感がくすぶるなかで、上値は重い。
・国内で新型コロナの新規感染者数が増加していることや、一部地域で工場操業が一時停止されたことを不安視している。
・業種別では、不動産の上げが目立ち、金融もしっかり、非鉄・レアアースは冴えない。
●2.中国7月工業生産、前年同月比+3.8%増、6月より鈍化(毎日新聞)
● 3.中国、記録的な暑さで電力の使用制限、トヨタなど日系企業の工場操業停止も(NHK)
●4.根底から揺らぎ始めた中国(JB pressより抜粋)
1)中国の人口が2022年にも減少に転じる
・出生数と死亡数が2021年に拮抗。2022年以降は出生数が急速に減少・死亡数は増加傾向にため、人口減少。
2)中国の出生率は、2017年頃をピークに、急低下
・出生率は、2021年で1.16と、日本の1.30よりも低くなった。
・中国の出生率は、米国・ロシア・ドイツ・日本に次いで中国と極めて低くなっている。
3)中国の奇跡の躍進の原動力
・奇跡の躍進の原動力
・安価な労働力としての、農村の若者を農民工として利用し、輸出産業を支えた。
・不動産高騰で地方政府の財政が潤い、道路・橋など社会インフラ投資を拡大。
・だが、出生数の減少と、大学進学率6割となり、農村部から若手労働力が急減。安価な労働力の供給が消え失せた。
4)出生率低下の原因
・不動産価格が高くなり過ぎて、若者がマンションを買えなくなった。
・中国では結婚の条件として男性が住居を用意する風習があるが、マンションを買えないため結婚できないことも、出生率低下の要因。
・晩婚化。
・教育費に多額の費用が掛かり過ぎて負担増。
・中国における行き詰まりからくる将来不安。
5)中国の人口減少から見えてくるもの
・中国の人口ピラミッドはいびつなものになりつつあり、老大国の人口ピラミッドであり、世界をリードする国のものではない。
・中国は2049年に建国100周年を迎えるが、それまでに米国を抜き去り世界最大の強国となることを中国共産党は目指していたが、不可能であることを示している。
・このような人口ピラミッドを有する国では、老人介護ビジネスは発展の余地があろうが、若者が消費する自動車やスマホは売れない。
・日本では、いまだに中国が有力な市場と主張する人がいるが、急減する出生数はそれが間違った予測であることを示している。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)8/15、日経平均+324円高、28,871円(日経新聞より抜粋)
・前週末の米株式相場が上昇した流れを受け、東京市場でも値嵩のグロース(成長)株を中心に買いが入り、1/5以来となる7カ月半ぶりの高値となった。
・米株式市場では、米国の高インフレに一服感が出て米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩やかにするとの観測から、主要3指数が揃って上昇した。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も+3%近く上昇し、東京市場でも半導体関連や電子部品関連の買いにつながった。
・個別株では、材料が出た第一三共が+14.5%高、ソフトバンクG+5%超高くなり、この2銘柄で日経平均を+117円押し上げた。
・もっとも、日経平均は8/12に+727円上げたこともあり、一部の主力銘柄には利益確定の売りが出やすかった。心理的節目となる29,000円を前に持ち高調整の動きもあった。
・東エレク・ファナック・TDK・トレンドが高く、リクルート・電通・海運株が下げた。
2)8/16、日経平均▲2円安、28,868円(日経新聞より抜粋)
・最近の急ピッチな相場上昇で高値警戒感から利益確定売りが先行したが、下値では押し目買いも入り、前日の終値を挟んで小動きの展開が続いた。
・日経平均は前日までの2営業日で+1,000円超の上昇し、心理的節目の29,000円が視野に入ったこともあり、利益確定や戻り待ちの売りが先行した。テクニカル指標面から短期的な過熱感の指摘もあり、下げ幅は一時▲100円を超えた。
・しかし、下値では押し目買いが入り、下げ渋って上昇する場面も目立った。
・米国でインフレがピークアウトして米連邦制度理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの期待が投資家心理を支え、グロース(成長)株の一角などに買いが入った。
・市場では「9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで間があるうえ、国内企業の決算発表が一巡して株価の下振れリスクが低下している。
・3/9に付けた年初来安値(24,717円)から6カ月の信用期日が近づき、売り方は買戻しを進めている」との見方もあった。
・海運大手が軒並み大幅安・出光興産・INPEX・三菱マが売られ、エムスリーが上昇。
3)8/17、日経平均+353円高、29,222円(日経新聞より抜粋)
・29,000円の節目を超え、1/5以来およそ7カ月ぶりの高値を回復した。前日の米株式市場でNYダウが上昇し、投資家心理が改善、幅広く買いが入った。
・市場では「相場の動きに順張りで投資するCTA(商品投資顧問)が先物に買いを入れ一段高を招いた」との指摘が出ていた。株価先物指数などを売っていた投資家も買戻しに動いた。
・一方、日経平均が心理的節目の水準を超えたのをきっかけに国内機関投資家を中心に利益確定の売りが出たため、相場の上値が重くなる場面もあった。
・ファストリが大幅上昇し、ソフトバンクG・ダイキンが上げ、ファナックが下落した。
●2.日本株:「需給相場」入りも、不透明感浮上し「振らされる可能性」も
1)日経平均は米国株とともに「需要相場」入り
2)不透明感の浮上
・8/15は日経平均が+324円高ながら、東証プライムでは値上がり銘柄841に対して値下がり912といびつな流れとなった。
・空売り比率低下し、買い仕掛けが通りやすくなっている。
8/17 空売り比率39.6% : 7月は45~50%あった。
・25日移動平均値が200日移動平均値を超え、「逆転現象」で買われ過ぎ状態
8/17 25日移動平均 27,772円、200日移動平均 27,546円
・「売られ過ぎ・買われ過ぎ」指標のストキャスティクスは、「買われ過ぎ」を示唆
FAST 97、SLOW 93
●3.日本の4~6月期GDP、年率換算+2.2%増、3四半期連続プラス成長(読売新聞)
1)行動制限解除で外食や旅行などのサービス消費が持ち直し。
●4.企業動向
1)すかいらーく 収益悪化で100店舗閉鎖(時事通信)
2)小田急 ロマンスカー27年ぶり10/1から22.2%値上げ(共同通信)
●5.企業業績
1)SBI 4~6月純損失▲23億円赤字、前年同期+289億円黒字(時事通信)
2)バルテス 4~6月経常利益2.0億円、前年同期▲0.2億円赤字(フィスコ)
2023年3月通期見通し、経常利益8.1億円、前年同期比+39.8%増、上方修正
■IV.注目銘柄(投資はご自身の責任でお願いします)
・5713 住友鉱山 業績堅調
・6383 ダイフク 業績堅調
・7366 LITALICO 業績堅調
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