関連記事
100円ショップ:セリアが13期連続最高純益更新・11期連続増配に王手をかける背景
2020年12月18日の企業・産業欄に、『100円ショップ「セリア」が10期連続増配に大手をかけた背景』と題する記事を投稿した。結果、21年3月期は10期連続増配を実現した。その経営力を記した内容である。
【こちらも】100円ショップ「セリア」が10期連続増配に大手をかけた背景
今回、改めてセリアを書こうと思ったのは22年3月期、さすがのセリアもコロナ禍を受け小売業の好不調をはかる「既存店売上高」が前年同期比「-」の月が多いと聞いたからだ。事実、上半期は99.4%にとどまっていた。そして下半期入り後も昨年10月こそ101.2%も以降1月まで100%を下回り、平均95.2%にとどまっている。
だが今22年3月期も5円増配70円配(11期連続増配)の計画を変えてはいない。と同時に今期計画が実現すれば、「13期連続の最高純益更新」と知った。改めてコロナ禍でのセリアの収益動向を確認してみた。
前期の「10.6%増収、20.8%営業増益、22.0%最終増益」に対し今期は、「6.1%増収(2130億円)、3.4%営業増益(220億円)、1.9%最終増益(150億円)」計画で立ち上がり、第3四半期実績で「1577億5100万円、166億2000万円、114億400万円」と対通期計画比で「74%、75%、76%」の進捗率を残している。
期初計画の積算段階で、「環境」を的確に読み切った証しだと捉えることができる。前記の通り既存店売上高は「前年割れ」。だが連続増配・連続最高益更新は「◎」状態。何故か。第3四半期決算から読み解いてみた。
◆貪欲な出店計画: 出店106(直営店)-退店(同)=1819店。貪欲さを感じたのは、決算資料で出会った「複数出店案件が見込める企業との関係強化」。という件。「商業施設等」と理解したが、確認の為の問い合わせに返ってきた答えは「ご指摘の通り。当社が出店できていない施設を運営される企業は、全国に多数ある。多様な出店ニーズに効率的に対応する為には、店舗数の多い施設運営企業との関係を強化すべきと認識している」(経営企画室)。
◆既存店売上高: 緊急事態宣言・まん延等防止措置の発出・解除の波の中で、概ね予定通りの進捗。
◆売上原価率: 前年同期比0.1ポイント低下、56.6%。これが10%を超える売上高営業利益率を実現している。セリアは総売上高に占めるPB商品比率を発表していない。が、その一因が好採算なPB商品の多さであることは、容易に想像がつく。問い合わせた。経営企画室からはこんな答えが返ってきた。「PB商品のみの割合は公開していない。だがPB商品を含めた弊社のみで販売している商品は約45%。また当社がアイデアを出したNBパッケージ商品なども、当社限定で販売している」(同)
強い企業には「強さ」にそれなりの理由があるということである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
関連キーワード