女性医療の後発医薬品:富士製薬の中計は、冒頭に「PBR1倍回復」を明示

2024年12月15日 20:39

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 ジェネリック医薬品(後発医薬品)の市場規模は調査会社:富士経済によると、「2018年に9557億円だったものが23年には1.3倍の1兆2727億円に達した」という。実はこの段階では、ある不安が拭いきれなかった。

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 詳細は省くが、23年初めに斯界を牽引してきた日医工で、忌まわしい事件が起こった。日医工は株式市場から姿を消し、業務停止に追い込まれた。結果、日医工に原液の供給を委ねていた後発医薬品メーカーの生産が窮地に追い込まれた。

 「新薬に比べ薬価が2割から4割安いジェネリック医薬品の供給減少は、社会保障費の増加に繋がる」とする懸念が広がった。

 調べた。2024年11月段階で日本ジェネリック製薬協会の調査は「22年度(22年4月~23年3月期)の通期の後発医薬薬量シェアは80.7%となり、政府が目標としてきた80%超えた」とした上で、「このトレンドは止まらないと認識する」という見解にひとまずはホッと安堵感を覚えた・・・

 改めて、注視してきた後発医薬品企業の足元と今後の展望を覗いて見た。

 富士製薬工業(4554、東証プライム)。売上高の8割以上を「女性医療」と「急性期医療」で占めている。かつ注射剤が中心。

 富士製薬を初めて覗き込んだ折りに感心したのは、専門部門を主軸とした独特のプロパガンダだった。今回も久方ぶりにHPを読み、同様の感心をさせられた。

 例えば『社会にとって大きな課題である女性の健康課題の解決に貢献する~人生のうち、女性は男性より25%多い時間を、不健康な状態で過ごしている~』とし、世界経済フォーラム2004のデータに基づき「月経随伴症に伴う経済損失額、約6000億円」「更年期症状による損失額、約1兆9000億円」と読み手にぶつけている。

 その上で厚労省等々のデータを引き合いに出し「子宮内膜症」「月経随伴症」「子宮筋腫」「更年期症状」「婦人乳がん」「不妊症」の推定患者数/治療人数を詳細に記している。「中心分野の市場を的確に把握している」と、読み手の側に訴えてくる。

 今2025年9月期は「15.7%の増収(533億6000万円)、25.0%の営業増益(48億5000万円)、3円(連続)増配45.5円配」計画。

 至29年9月期の中計では「売上高800億円(25年9月期比50%増計画)、営業利益100億円(2.7倍)、EPS成長率年率17%、ROE10%以上」を謳っているが、表紙の部分には『PBR早期1倍超に向けて』と訴求と言うかプロパガンダが・・・

 本稿作成中の時価は1500円台半ば。予想税引き後配当利回り2.34%。件のPBRは0.83倍。IFIS目標平均株価は選出者2名のアナリストがともに「強気姿勢」で、2285円。ご判断は読者各位に・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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