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ソフトバンクG、劣後債の金利決定が好感されて推進力アップ!
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ソフトバンクグループ(SBG)は、21年11月に開かれた決算説明会で、自社の株価がディスカウント状態であるとの認識を示し、22年11月8日までの1年間に1兆円の自社株買いを実施すると発表していた。
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これを受けて、11月10日から30日までの期間に413万株、12月1日から23日までの期間に782万株、合計1,195万株の自社株買いが実施されていたことが、関東財務局へ提出した報告書から判明した。うち12月の自社株買いには約430億円が充当されていた。1年間で1兆円の自社株買いとなると、1カ月当り平均で約830憶円になる。12月の実績との比較では余裕のある運用と言えるだろう。
SBGに関しては、21年12月に40億ドル(約4600憶円)を米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントから借り入れの最終調整中と報じられていた。現在のところ続報がないので進捗具合は不明だが、金利条件が1桁台半ば(5%前後?)で、SBGのビジョン・ファンド2が保有する約400億ドル(約4兆6,000億円)の資産が裏付けになるとのことだった。
SBGは20日に、個人投資家向けに劣後特約付き公募社債(劣後債)を5,500億円発行すると発表したが、こちらの利率は年2.48%に決定した。アポロ・グローバル・マネジメントからの借り入れは、その概ね倍の金利を払って、借入金額の10倍もの資産を裏付けにするという法外な話だった上に、当時プライベートクレジット市場で過去最大の規模になると恩着せがましく伝えられていたので、すんなりとはいかないのかも知れない。
SBGが20日発表した劣後債は、借入金の返済や社債の償還に充てられると言うから、借り換えのようなものだ。主として個人投資家に向けて販売され、申込期間は1月21日~2月3日、払込期日は2月4日とされている。同様の劣後債は21年9月に個人対象で4,500億円、機関投資家を対象に500億円、計5,000憶円発行している。
SBGは7年物の個人対象劣後債4,000億円を14年12月に、4,500億円を15年2月に発行している。この2件の発行による合計調達額が8500億円であるのに対して、21年度個人対象に発行される劣後債は合計9,500億円だ。単純計算で、1,000億円が借入金の返済に充当される。
劣後債の利率は年2.48%と決定されたが、想定利回りが年2.15~2.75%だったため、特に波乱なく中庸に収まった。同日の東京証券取引所でSBGの株価は、前日終値を100円近く下回る辺りから上下を繰り返し、公募社債の利率決定が伝わった辺りから力強い上昇となり、前日比2.12%アップの5527円で終了した。利率が妥当なラインで決定したという市場の安堵が感じられる1日だった。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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