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国内ユニクロの第1四半期:2桁減収減益に覚える個人消費への懸念
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ユニクロの展開を主軸とするファーストリテイリング(東証1部)の今期第1四半期が、13日に開示された。2021年8月期の大幅増収増益を受け今期は、「3.1%の増収(2兆2000億円)、8.4%の営業増益(2700億円)」と堅調かつ慎重な計画でスタート。
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いつもながらの好営業利益率には感心しながらも実は、13日を待ちわびていた。国内ユニクロの昨年9月-11月の既存店+EC売上高が、前年同期比「80.9%、95.2%、95.4%」と1度も「100%」に達しなかった点。そして12月も「88.9%」に止まり、その理由をこう発信していたからである。
「12月の既存店+Eコマース販売の売上高は前年比88.9%・・・12月は4週目まで気温が高く推移したことから、防寒衣料の販売に苦戦した・・・最終週は気温の低下に加え年末祭りが好調だったことで増収となったが月全体では・・・」。
同業態で、かつては「ユニクロのライバル」とまで称された:しまむらの動向はどうかと調べた。しまむらは復権の狼煙を上げるように21年2月期は、「4.0%の増収、65.4%の営業増益」と好調への転換ぶりを示した。今期は「2.3%増収、1.6%営業増益」と慎重に立ち上がったが、中間期開示と同時に「5.1%の増収(5705億2000万円)、20.1%の営業増益(456億8400万円)」に上方修正した。そして第3四半期実績は修正後通期予想の達成率で、「76.5%、85%」。
最も興味を覚えたのが、最終四半期の入り口:12月の既存店売上高である。前年同月比「101.6%」。しまむらはその理由を、「関西以西を除く各地域で冬らしい気候となり、冬物が売り上げを伸ばした。あったか素材『FIBERHEAT』の肌着やタイツ、PBブランドの『CLOSSHI』のダウンジャケットやタートルネックTシャツの売れ行きが好調だった。またミセス・シニア向け商品やビジネス・フォーマル関連商品の復調傾向が売り上げを伸ばした」とした。
国内ユニクロの「昨年12月観」との間に、差異を覚えた。
ファーストリテイリングの今期第1四半期は、「前年同期比1.2%増収、5.6%営業増益」で通過した。が、海外ユニクロ事業が前年同期比「15.0%増収、44.6%営業増益」だったのに対し国内は、「10.8%の減収、18.8%の営業減益」。
前年同期が在宅勤務やエアリズムマスクで販売を盛り上げた反動、と説明されても納得しきれない。何故なら国内ユニクロの消費(収益)動向は、個人消費の行方を占う一方のメルクマールと言って過言ではないからだ。
14日の読売新聞は、第1四半期決算を『ユニクロ一部値上げ検討』の見出しで、発表にあたった岡崎健取締役の「商品によっては値上げをせざるを得ない局面になってきた」とする発言を伝えている。原材料価格や物流費の負担増が要因としても、個人消費回復に懸念を抱かざるを得ない。
株価はどう映し出しているのか!?―13日の終値は5万9140円。年初来安値を更新して引けた。そして翌14日は全体相場が値下がり(364円安。一時600円安に迫る)する中で、6万3910円で終わった。「あく抜け」と捉えるべきか。あるいは全体相場が下落する中でファーストリテイリングは、投資家主体は?だが「下支え」の役割を果たすことが多い。14日もそうだったのか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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