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兜町には地熱発電の「テーマ化」を、岸田首相には「積極的取組」を期待する
レノバが参画している南阿蘇湯の谷地熱事業の噴気試験(画像: レノバの発表資料より)[写真拡大]
COP26が閉幕した。「脱炭素化社会」は真に掲げられた数値目標に向かい、着実な歩みを進めていくのだろうか。直近、看過できない2つの事実に直面した。
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1つは10日のAFP=時事が伝えた『フランスのマクロン大統領が国民向け演説で、「フランスのエネルギー自給を保証し、わが国の目標、特に2050年までのカーボンニュートラル(炭素排出量実質ゼロ化)を達成するために、わが国は数十年ぶりに国内での原子炉建設を再開する」と明言した』という事実だ。
日本でも50年のカーボンニュートラルに向け「再生可能エネルギーの増幅」が提示され、諸々の策が施されている。が、先々の電力源として「原子力発電:ゼロ」の方向は打ち出されていない。
11年の東日本大震災後、原子力発電量は確かに減少に転じた。だが2021年3月に「9基の原子力発電所再稼働」に見られるように、原発の電源比率は低下傾向を辿っているとは言い難い。「蓋をしておきたい」が為政者本音なら、おかしい。議論の高まりが求められよう。
1つは地熱発電に対する現状だ。日本は火山国。米国・インドネシアに次ぐ世界3位の地熱資源大国とされる。火力原子力発電技術協会の統計では「11年の福島第1原発事故」から約10年間で、地熱発電所の数は4倍に増えたという。
だが小規模発電所が多く発電量自体は伸び悩んでいる(現状で約50万kW、全発電量の0.2%水準)。とりあえず為政者は「30年までに発電所数倍増目標」を掲げた。
地熱発電設備の利用率は太陽光や風力の10~20%に比べ、70%強とされる。火山帯の熱エネルギーを利用して沸点の低い媒体と熱交換し蒸発させ、その上記でタービンを回し発電する。熱水は再び地下に戻す。環境への影響は優しい。
株式市場も「地熱発電拡充」の手伝いをしようではないか。関連銘柄として兜町筋は「待っていました」とばかり「御三家は・・・」と以下を指折り数え始めた。
◆富士電機: 地熱タービンの受注で世界トップシェア。◆三菱重工: 地熱発電システムの納入量世界1。◆東芝: 累計出力約3.8GWの地熱発電設備の納入実績。だが正直、聞かされても食指が動かなかった。例えばJ-powerなどどうか。19年5月に山葵沢地熱発電所(山形県湯沢市)で、出力4万6199kW(1万kW超は23年ぶり)の運営を開始。23年に稼働開始予定の発電所の更新工事中。
また再生エネルギー特化の発電事業を展開する、レノバ。私は19年2月27日の企業・産業欄に、「レノバは地下の熱エネルギーを発電する『フラッシュ』という手法を有している」「会社側も取り組みに積極的な姿勢を示している」と記した。事実いま、「函館市に開発中の案件」「熊本県阿蘇村に建設中のプロジェクト」がある。
ところで岸田文雄首相にお願いしたいことがある。前菅義偉政権下だった今年、新総裁選挙の天敵だった河野太郎規制改革担当相(現自民党広報局長)の肝いりで「自然公園法」が改正された。地熱発電に適した地域の多くが、国立・国定公園内。地熱発電の普及への「規制改革」でもあったと認識する。岸田首相には「政局は政局。国の先々を占う政策は政策」と判断し、地熱発電の普及に注力していただきたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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