ゼンショーHDから覗く、大手飲食業の見極め

2021年9月17日 16:21

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 現時点で「コロナ禍収束⇔経済活動本格再生」を確かに見極めることほど、困難なことはない。ただ私は多少なりとも「持論」を吐くために隙間からでも覗き見ようと軸足を、「大手飲食店企業の収益動向」に置いている。例えば、ゼンショウホールディングス(ゼンショーHD)。牛丼の「すき家」や回転ずしの「はま寿司」にはじまり、21ブランドの飲食店舗を展開している。

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 前2021年3月期は「5.6%の減収、42.2%の営業減益」と沈んだ。新型コロナウイルス禍をもろに受けた結果だ。だが今期は「15.6%の増収(6880億6300万円)、86.3%の営業増益(225億1600万円)」と、コロナ禍前の20年3月期を上回る計画でスタートした。

 中小の飲食店チェーンや零細飲食店は依然としてコロナの影響に晒され続けるだろう。だがゼンショーHDは未だ体力を残している。前期の最終利益81.1%減でも20円配当を据え置いた(配当性向135%)。

 また前期の決算発表に際し「コロナウイルス禍の収束は不透明」としながらも、「今後も食材調達・製造・物流・店舗販売まで一貫して設計・運営を行うマス・マーチャンダイジング・システムの強みを活かし、フード業界世界一を目指し成長を続けていく」とあえて言い切った。その証左とも言える店舗展開でもすき家など牛丼部門では67店純増の3064店舗、はま寿司などファストフードでも純増24店957店舗としている。

 そして4-6月期を開示。「前年同期比18.9%の増収(1526億700万円)、営業利益28億7500万円(前年同期は46億8100万円損失)」。期初段階の中間期予想売上高・営業利益への進捗率は「45%強、30%強」。が、小売業の状況を推し測る既存店売上高はすき家軸の「牛丼」カテゴリーで前年比114%、はま寿司中心の「ファストフード」で118.5%と「順調」と判断できる状況を示している。

 ではそうしたゼンショーHDの現状を株価動向は、どう映し出しているか。本校作成中の時価は2800円台入り口。今年に入っての値動きは1月安値:2576円から3月高値:3125円まで買われその後、5月前半に2700円台前半まで整理が進み6月に2900円台まで買い戻された後の再調整場面。この限りでは株価も、中間期の収益動向を確認したいという状況。IFIS目標平均株価も2933円と、算出したアナリストも中立/同様の構え。

 ちなみに7月の総店舗数1943店の「既存店売上高:前年同期比108.7%」「全店売上高:109.0%」と、踏ん張っているように見えるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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