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SBI、フィンテックやTOBなど収益基盤強化で税引前利益の倍増に挑む
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SBIホールディングス(以下SBI)は9月9日、新生銀行を子会社化するため、TOBを開始した。SBIは新生銀行の筆頭株主として地方創生分野で協業関係にあったが、新生銀行がマネックス証券と提携したことで、関係が悪化していた。
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TOBにより、お互いの強みを生かしたシナジー効果を追求。新生銀行の業績低迷を改善し、SBIグループの更なる躍進を目指す。
SBIは、1999年にソフトバンクグループの子会社として設立。2000年にジャスダック市場に、2002年には東京証券取引所第1部に上場した。2005年に持株会社体制へ移行しSBIホールディングスとなり、ソフトバンクとの資本関係を解消。
インターネットをメインチャンネルとし、証券・銀行・保険をコア事業とする金融サービス事業を展開してきた。
2021年3月期の収益は5,257億円(全社調整を除く)。事業別の構成比は、証券、銀行、保険事業を中核とする金融サービス事業が59.3%、ベンチャー企業への投資などを行うアセットマネジメント事業が39.6%、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業が1.1%を占めるSBIの動きを見ていこう。
■前期(2021年3月期)実績と今期見通し
前期収益(売上高)は5,411億円(前年比47.0%増)、税引前利益は前年よりも746億円増の1,404億円(同113.3%増)といずれも過去最高を更新した。
税引前利益大幅増の要因は、DX化の進展による証券・銀行の好調や、保険事業の契約増により金融サービス事業が345億円の増益。Fintechファンド、SBI A&Bファンドの投資先の評価益、売却益の増加と韓国のSBI貯蓄銀行の好調により、アセットマネジメント事業で476億円の増益。臨床試験終了による支出減により、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業でも28億円の増益となった。
一方、業務改善命令を受けたSBIソーシャルレンディングの償還に伴う損失処理などにより、全社調整その他で103億円の減益を計上した。
尚、株式市場などの変動要因が大きいため今期見通しの開示は行っていない。
■新中期ビジョン(2021年4月から3~5年)による推進戦略
関係企業とのシナジーを追求し、収益基盤を強化する事業戦略により、期間中に税引前利益3,000億円超(前期比113.7%増)を目指す。
●証券関連事業
圧倒的な収益基盤確保と収益源の多様化を目指す。サービスの多様化による顧客層の拡大と外国株取引拡大、新規公開株(IPO)・公募株(PO)引受の強化などで、規模を拡大させる。
●銀行関連事業(住信SBIネット銀行)
モバイルで預金・住宅ローンを提供する「チャレンジャーバンク」や、ヤマダHD、JAL、光通信など大企業と提携して預金・融資を行う「ネオバンク」を躍進する。
●保険関連事業(SBIインシュアランスグループ)
多種多様な保険提供とAIを活用した事業効率化を目指す。
●アセットマネジメント事業
海外金融サービスが好調に推移。投資ファンドの拡大を目指す。
●バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業
新薬候補の開発進展や、機能性健康食品の売上増を目指し、医療分野のベンチャー企業へ投資する。
●デジタルアセット関連事業
暗号資産関連サービスの開発、収益化の進展を目指す。
着実なファンド投資拡大とフィンテックの活用で躍進するSBIの動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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