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温暖化に伴う極端な気象現象が飢餓人口に与える影響 京大らが推計
左は世界の飢餓リスク人口の推計。黒はベースラインシナリオ。赤、青はそれぞれ温暖化対策なしケースと温暖化対策を最大限実施したケースで CO2施肥効果を考慮しない場合。黄、水色はそれぞれのケースに対して CO2施肥効果を考慮した場合を表す。濃い部分の幅は 65%タイルを表している。右図は 2050年の頻度分布を表す。黒はベースライン、破線は中位 値。(画像: 京都大学報道発表資料より)[写真拡大]
京都大学、立命館大学、農研機構、国立環境研究所などは10日、複数のシミュレーションモデルを組み合わせて、地球温暖化に伴い増加が予想される熱波、洪水などの極端な気象現象が飢餓リスク人口に与える影響を推計したと発表した。研究グループではあわせてその対応策も検討している。
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■これまでの研究の問題点
これまでも地球温暖化が農業生産に与える影響については、よく研究されてきた。
だがそれらの研究は、例えば、2050年までに温暖化により農業生産が○○%減少するなど、穏やかな気候の変化の平均的な姿に基づくものだった。
だが実際には、地球温暖化に伴って増加することが予想される熱波、洪水などの極端な気象現象が農業生産に与える影響は大きい。
そこで研究グループは、AIM(Asia-Pacific Integrated Model、アジア太平洋統合評価モデル)と呼ばれる統合評価モデルと、PRYSBI2と呼ばれる作物モデルを組み合わせて推計を行なった。推計では、地球温暖化に伴って極端な気象現象がどのように変化していき、どのように農業生産に影響を与え、どのように飢餓リスク人口が変化していくかを世界規模で予測。あわせて100年に1度規模の不作が起こった場合、追加的な飢餓人口の増加を防ぐためには追加的にどの程度の食料の備蓄が必要になるか、その対応策を検討した。
■研究の結論
その結果、2050年時点の飢餓リスク人口は、社会・経済面での変化のみを考慮し、気候は現状のままとしたベースラインでは、3億6000万人と推計された。
これに対して気候変動を考慮した飢餓リスク人口は、温暖化対策無しの場合で4億4000万人(中位値)、温暖化対策を最大限行なった場合(パリ協定の2度目標相当)では4億人(中位値)と推計。
さらに非常に稀ではあるが、100年に1度規模の不作が発生した時の飢餓リスク人口は、温暖化対策無しの場合で6億人、温暖化対策を最大限行なった場合で5億3000万人と推計された。
また100年に1度の不作が起こったケースで温暖化対策無しの場合、追加的な飢餓リスク人口の増加を避けるためには、追加的な食糧の備蓄として1億8000万tの穀類(約3兆8000億円相当)が必要になると推計している。
研究グループでは今後、顕在化してくる地球温暖化による飢餓リスク人口の増加に対応するには、国際協調などが重要になるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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