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排ガスや空気中からCO2を省エネルギーで回収 高性能の分離膜開発 九大ら
九州大学や日本炭素循環ラボなどの研究グループは22日、CO2を選択的に透過する高性能な分離膜「アミン含有ゲル粒子膜」の開発に成功したと発表した。研究グループによれば、この膜によって、燃焼後の排ガスや空気中から一段階で高純度なCO2を分離・濃縮可能な、小型で省エネルギーなCO2分離装置が実現できるという。
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■CO2回収技術とは?
持続可能な社会を実現するためには、地球温暖化対策が欠かせない。この観点から現在注目を集めているのが排ガスや空気中からのCO2回収技術だ。
さまざまなCO2回収技術の開発が行なわれているが、例えば、三菱重工が関西電力と共同で開発したCO2回収技術は、排ガス中のCO2を90%以上回収可能で、すでに商用化されている。2019年2月時点で世界13カ所においてこの技術を使ったプラントが稼働している。
こうして回収されたCO2は、地中に埋められたり、産業的に再利用される。産業的な再利用としては、尿素・メタノールの増産、ドライアイスの製造、石油の増産などに使われる。
ただ、これまでのCO2回収技術はエネルギーコストが高く、省エネルギーなCO2回収技術の開発が待たれていた。
■省エネルギーでCO2を選択的に透過する高性能な分離膜
分離膜を使ったCO2回収技術は、省エネルギーかつ低コストというメリットがある。研究グループは、CO2と反応するアミンを含むゲル微粒子を多孔性の膜にスプレー塗工することで、CO2を選択的に透過する高性能な分離膜「アミン含有ゲル粒子膜」の開発に成功した。
研究グループによれば、この製造方法によれば、さまざまな凹凸構造を有する多孔性の膜に隙間のない分離層を、高い歩留まりで製造できるという。
この分離膜は、燃焼後排ガスを想定したガス(CO2を10%、窒素を90%含む)で、窒素に対して216倍のCO2の選択的透過性を示したという(過流束1,010GPU)。通常の空気を想定したガス(CO2の濃度400ppm)で、窒素に対して2380倍のCO2の選択的透過性を示した(透過流束1,270GPU)。いずれの場合も、高速な透過が実現されたという。
研究グループでは、この分離膜により、燃焼後排ガスや空気中から一段階で高純度なCO2を分離・濃縮できる、小型・省エネルギーなCO2分離装置を実現できるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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